ヲタ枠からの腕利きP ー 伊藤かりんの愛と献身(予告編)

仲謀 若さと猛りにまかせただ突っ走るだけでは振りきれないものがある
おまえは人の怨みを飼いならせる
曹操を 乱世を 天下を飼いならせ

孫家は わが孫家は 代を重ねる度に豪壮になってゆくのだ! (孫策)
— 『蒼天航路』 その百六十九 より



タイトルが「(予告編)」と変則的なものになっているのは、
かりんちゃんことかりんこと伊藤かりんちゃんに関しての
プロパーな1論を予定してタイトル立てと下書きを進めていたものの
流れ上、前回エントリの佐々木琴子論と合わせ技での1本が必要となったためです。
補っての長すぎるタイトルを遠慮なく付けるとすれば
「ヲタ枠からの腕利きP ー 伊藤かりんの愛と献身、『乃木坂46SHOW!』に寄せて」
とでもなるでしょう。
そう、14/11/01放映の『乃木坂46SHOW!』の1コーナー:
「潜入シリーズ 乃木坂46真夏の全国ツアーファイナル編」はあまりにも面白すぎるため、
いつもの伝の聞き書き再現メソッドでたっぷりとご紹介しておくのです。



14/08/30の明治神宮野球場での夏のツアー最終コンサートの
裏側、というよりは開始かなり前と終演後の野球場クラブハウス・ビル軒先で
「特派員」の、ハンディ・カメラを持ったかりんとマイクを持った琴子が
メンバー数人に短くインタヴューするだけというこの「潜入シリーズ」。
ところが、それはほんの建て前程度なのではないかというくらいに
琴子の呂布とも関羽とも並び称される武威の嵐が吹き荒れます。



イントロからいきなり「乃木坂46初心者のためにお互いを紹介!」というていで
「佐々木琴子ってどんな人?」シークエンス。
かりん「あのワード言ったら怒る?」
琴子(かりんの口許に耳を近づけ)
かりん「(小声で)ポンコツ、ポンコツ」
琴子「あ〜、いいよ!(と言いつつかりんに何かを耳打ち)」
かりん「敬意をこめてのポンコツならいいそうなので」
「やあ あの 残念ながらポンコツではあるんですけど それが彼女のいいところなので —」
琴子「(ささやき声で)敬意をこめてね」
かりん「敬意をこめてね OK OK 敬意をこめてのポンコツです」
遠くはAKB48のぱるる(島崎遥香)、近くは乃木坂キャプテンれかたん(桜井玲香)等
「愛され」称号としてのぽんこつ呼びは数あれど
そして「え〜、なんでよ〜」系で渋々のていで受け入れるのはおなじみの形なれど
「敬意をこめて」と指定するのは初めてのケースではないでしょうか。
言うとしても「愛のこもった」「愛ある」あたりではないでしょうか。
ともあれ、『月刊エンタメ』10月号で初めて公式に使われた琴子へのぽんこつ呼びが
とりあえずは全国区のTV番組で披露された輝かしい瞬間でした。

続けて「伊藤かりんってどんな人?」。
琴子は逆襲とばかりに「おばさん」落としのていを取りますが
敬慕と好意と遠慮の風味が多めにこぼれ出していて仲良しワチャワチャほんわかベース。
まだ16才なのに「立ち位置おばさん二代目を目指して頑張ってます」の言葉が
知ってか知らずか「おばさん」落としをソフトに無効化しています。

続いていよいよ2人にとっても未知の難関チャレンジ。
1期生の先輩たちへの2対1でのインタヴューです。
かずみん(高山一実)ちーちゃん(斎藤ちはる)ひなちま(樋口日奈)らりん(永島聖羅)の順。
粗相のないように緊張しいしい、かと思いきや
かりん&琴子の瞠目すべきコンビネーションの妙が遠慮なく花開きます。
珍しくナーヴァスなのか琴子があまりにも危なっかしいためか
いつになく真面目な受け応えのかずみんに続いて

まずはちーちゃん(斎藤ちはる)。
琴子の「溢れ出すあの大物感」に注目してるというだけあってニッコニコで迎えるちーちゃんに  ※1
いきなりすっとんきょうな琴子節が炸裂!
琴子「はい じゃあ ありがとうございます」
ちはる「何が!?(左手で軽いツッコミ仕草で)」
インタヴュー始めの一言でまるで締めの挨拶のようにお礼を言ってしまう!
知らない人相手だったら完全に事故です。

幕間。かりんと共に。
琴子「もうヤバいと思う ネタ切れ」
かりん「もう もうネタ切れ!?」
琴子「何聞けばいいかな...」

続いてのひなちま(樋口日奈)を横手に、クネクネと悩んでいる琴子。
挙げ句の果てには —
琴子「聞いてほしいこととかってありますか?」
かりん「聞いてほしいことじゃないよw」
インタヴュワーがインタヴュイーに質問内容を教えてもらう、て!

幕間。
琴子「大丈夫でした?」
かりん「アウトだよ アウト!w」
琴子「アウトーぉ!」
街ロケで新人女子アナに苦笑しながら駄目出しするディレクターみたいな
かりんの愛ある面白がりイジりで琴子のぽんこつっぷりが最大限に活かされてます。

(前半戦の)最後はらりん(永島聖羅)。
琴子「(かりんに謎の手振りをしながら)もうネタ切れ...」
聖羅「え ネタ切れ!?嘘でしょ え!?」
「(小声で打ち合わせするていで)あの じゃあ『今日の意気込みは?』って —」
琴子「今日の意気込み...(吹く)」
聖羅「今日の意気込みはですねえ〜...(吹きつつ)」
ついには台詞を教えてもらってしまってます。もはや出来レースですね。
『16人のプリンシパル trois』やアンダーライヴですっかり琴子のキャラをつかんだ上で
らりん先輩はこのぶっとび茶番劇にフル協力してくれてるのでした。

コンサート後の後半戦では選抜メンバーの真面目めなインタヴューのため
2人もお戯れを抑えて終わるのですが、
とにかくこのかりん&琴子のコンビ・プレイ、
そして琴子のぶっとび具合を知るメンバーたちの、始まる前からの半笑いベースが素敵です。
その笑いの形、天然ボケの方向性は予測不可能ながら
ちーちゃん・ひなちま・らりんは「来たぞ、来たぞ!何をカマしてくれるんだ?」とばかりに
琴子の出方を待ち構え準備してくれてるようなのですね。



これぞ琴子の巻き起こす正体不明の愛の嵐!
何が何だか分からない、巻き込まれるとどこに連れていかれるか分からない、
にもかかわらず何だかとても面白そう、
この子のやるがままに任せて行き着くところまで一か八か行ってみよう —
そんな奇っ怪な確信をなぜか接する人に抱かせてしまう
微笑ましくもぶっ飛んだ謎のポジティヴィティと謎の希望のかたまり。
一見「ひかえめ」で楚々としておとなしそうなこの埼玉の高校1年生は
自分でも何だか分からないままに、研究生の境遇のまま
勝手にひとつの新たな革命を、部分的にながら起こしつつあるのです。
そして、その武の器にいち早く気づいて
「拾い」のプロデュース力でブーストをかけていったのは
同じく2期生で、2014/08/04までは同じく研究生だったかりん。
そのコンビネーションの妙は、繰り返しになりますがいま一度
「2期生で『乃木ここ』やっちゃいました! 前篇」
「2期生で『乃木ここ』やっちゃいました! 後篇」
でお確かめあれ。



乃木坂46というグループの何がそれほど特別で魅力的なのか?
まだまだ世間的には認知が足りていないことですが、ボクはその第一に
「人が人を愛する形が様々に見れること」を挙げたく思います。
われわれは男であれ女であれ、あまりにも愛が不足した世界、
愛が存在したとしてもロクに役に立ってない世界、
愛が狂った形で暴力や不幸の種となっている世界に住んでいます。
われわれは、愛が尊く美しく力強く善きものであることを都市伝説的には知っていますが、
それをそうと認識できる瞬間瞬間を日常生活においてあまりにもごく僅かにしか持っていません。
そんなわれわれにとって、
乃木坂メンバーが他の乃木坂メンバーを愛していることが伝わってくる瞬間瞬間は
それだけで美しく善きもの、ほっこりキュンキュン、あるいはジュンジュンさせられるものなのです。
乃木坂ちゃんたちが、実は
女子・女性ファンにこそ切なく狂おしくなるほどの愛と敬慕を向けられているのもそれゆえでしょう。



われわれはTVヴァラエティを観る時、
多分にエロス・アガペー・驚嘆・スリル・ドラマツルギー・発見の歓びを求めています。
思い返せばそうした暴威の混合物を、「顔が好き」「顔が嫌い」のような哀しく幼稚な「好み」を超えて
広く強力に爆裂的なセンセーションを伴って天下に放った乃木坂の代表格は
1期生で言えばななみん(橋本奈々未)でした。
好きじゃない・嫌い・気に留めてないと言っていた人々までもが
毘沙門天の知と義憤が炸裂するたびに、不思議個性が暴露されるたびに
ほだされるように興味や尊重や畏敬や慈愛や期待を自然と寄せていったのです。
そして今、なぜだか1期生/選抜の「有力」メンバーが
輝かしい外見上の快進撃にもかかわらず奇妙にもある種の「疲れ」を見せているらしき様子に対して
「アンダー」&「研究生」こと乃木坂セカンド・ラインは
不思議な多幸感とポジティヴィティに満ちた猛り立つ荒ぶる歓びを見せています。
その中でもボクが
もっとも制御不能・理屈抜きであるがゆえにもっとも強力に思うエナジーとハッピネスは
琴子が放つ野性のそれなのです。
さしあたっては今夜深夜(火曜未明)25:29〜の『NOGIBINGO!3』最終回での
琴子の謎の大泣きシーンを楽しみに現場からさようならっ!



※1
怒涛の質問返し!200 〜251!季刊乃木坂。 ジャケ写。(´>∀<`)ゝ| 乃木坂46 斎藤ちはる 公式ブログ より
ファンからの質問に答えて
No.236
個人的に仲良いor推してる二期生は?ヽ(・∀・)ノ

→仲良いのはきいちゃん、みおな!
2人とも少しづつちょっかい出し合ってる仲です。笑
ことこかな!
なぜか溢れ出すあの大物感にはかないません。








  

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