驚くほどこども、驚くほど大人 — 佐々木琴子の理知と情

劉備「なあ いま一度 周瑜の身になって呉(くに)を振り返ってみねえか?
   ある日を境に親友だった男を主君として盛り立て
   10年も経たねえうちに次はその弟を立て
   思いがけねえ死のたびに
   あいつは"王佐"って重い荷をひとつふたつと背負いこんできたんじゃねえのかい
   誰にたよることもなく
   たったひとりきりでよ — 」

呂範「このまま劉備を帰してしまえば
   孫呉最大の敵になるに違いござらん」
孫権「止めることのできんその涙ゆえか?」
— 『蒼天航路』その二百九十 より



せめて『乃木ここ』研究生篇のレヴューを急ぎで、
そして10/18に向けて怒濤のエントリ群を、と考えつつも
間を空けてしまったことを心苦しく思います。
で、順序的にはおかしいのですが
あれよあれよと書きあがってしまった今エントリを即時に放っておきまする。



ボクはおそらくこういうことを書くべきでない、書かずに済ませてそっと心の奥にしまい、
1年後3年後5年後嬉しい涙で心を洗い流せた折りに懐旧のエントリの中で書くべきなのです。
にもかかわらずいま先んじて書いておきたいのは
それがもしかしたら関係各位ご当人のため、ひいてはファンや未ファン、
さらにはアンチ候補生の哀しき心を溶かすためにもなるかも、と考えるゆえです。
いったい何の話かといえば、もちろん今回の卒業絡みの話、
琴子こと佐々木琴子ちゃんが発表直近の自ブログでそれに触れなかった件についての話です。



2014/09/12(バグのためか9/13上げ直し含め)の
同期の研究生:りさこ(矢田里沙子)京ちゃん(米徳京花)の卒業声明ブログ。
持ち回りターンでの直後9/13の自ブログで琴子はそれに触れませんでした。
その理由は、心情は、簡単に推し量れるものでは到底ありますまいが、
十分な時間を取って気持ちを総ざらいしてしっかり固めてか
琴子は9/15の夜遅く、ファンに混じって2人にコメントを寄せています。
従来どおりなら10/18以後随時消えてゆく卒業生のブログであれば
ここにそのコメント全文を引用するのもあながち咎とはなりますまい。
遅ればせにならない内に、今すぐにでも読みに行ってくださいな。
(以下、空行略)

辞退のごあいさつ 米徳京花 | 乃木坂46 研究生 公式ブログ より (14/11/01以後リンク切れ)
No.648 佐々木琴子 2014年9月15日 22:17
「卒業、おめでとう。」
「進路は自分のやりたいことを基準に選んでね
 そうじゃなきゃ人生もったいないしつまんないよ
 きょうか、頭いいから何でもできるよ
 人生楽しんだもん勝ちだから
 あーきょうかみたいに頭よかったらなー笑」
「そうだ、辞めても会おうね
 年1でもいいから、みんなで集まろ?
 二期生みんなでさ」
「長々とごめんね笑
 許してー笑笑」

矢田里沙子です。 | 乃木坂46 研究生 公式ブログ より (同上 リンク切れ)
No.500 佐々木琴子 2014年9月15日 22:25
「卒業、おめでとう。」
「あー何を書こう笑
 あ、ブログで卒業のこと触れなくてごめんね
 なんかさ、ブログ書いてるとき電車に乗ってたんだけどりさこと帰ってたときの
 こと思い出しちゃって色々と大変だったんだよー笑」
「りさこ、優しさが滲み出てるからすごいなって思う
 羨ましい~
 これからも優しいお姉さんでいてくださいな!」
「またねん」

メンバー同士以外の余人には与り知れない、そして知る必要もない
個人同士、人間同士としての卒業に関しての話が交わされていたことが窺えます。
必ずしも哀しい事情のせいばかりでもなしに
りさこ・京ちゃんが卒業を選んだのならそれはそれでいいのです。
1学年下の京ちゃんには、さりげなく親と子と子自身の人生について触れ
もともと児童教育関連の短大生りさこには、その優しさを採りあげて —
哲人と菩薩とイタズラっ子が自然と混在するような視点。
知る人ぞ知る琴子の文才が余すことなく活かされています。



もう、いわば「仲直り」が済んだであろう今だから忌憚なく書けることですが、
そしてボクの妄想であるなら嘲笑はいくらでもむしろ喜んで受けますが、
琴子とあーちゃん(鈴木絢音)、琴子と京ちゃん、琴子とりさこの間には
おそらく意見の相違による「距離」、なんなら「言い合い」が
あったのではないかと思えます。
上記のとおりの時系列で
「乃木坂一直線」の琴子と、人生・学業・家族との板挟みで揺れる3人に
「どうしてよ?乃木坂メンバーはその1人1人だけ!
 学校や両親との約束や将来の人生 — わたしには乃木坂が、今が大事だな!」
とばかりに、まっすぐな琴子が悔しさをぶつけてしまったとしても不思議はないと思います。
その時期、3人と琴子との2ショット3ショットが減っていたことは
そういう方向の「状況証拠」として見れなくもないのです。



どんなに熱い想いを持っていようと
頑是ないこどものように他者の事情・気持ちを慮らないままではいられない、
「ケンカしたまま」で悲しい別れにしたくないと思ってか、琴子は
3日後、できるだけ個人的にと考えてか、コメントで熟慮の末の言葉を伝えます。
万感の思いをググっと押さえつけ、やっと落ち着いた自分の心を見つめ
大事な想いだけを凝縮してパラグラフごとにこめ
いつもの「笑」で「もう、琴子ったら」とクスリとさせ
シリアスな今生の別れのようになるのを回避する。
何という大徳とリテラシー!
いつもの深い理知と情がいつものすっとぼけ文体に秘められていて
泣かされずにはいられない、そして読む余人も慰められずにいられない
驚嘆すべきはなむけの言葉となっているのです。



巷間よく言われる
「これこれで乃木坂を応援するのに虚しさを感じて離れた」系の言説を
ボクは今回の3人の卒業で、初めて他人事でなくリアルに感じました。
よっぽど「やってくれる」筈だった10th絡みの「運営方針」の数々も
それに拍車をかける意味不明で自殺的な「出」でガッカリきてもいます。
別途また詳述するかもしれませんが
「あ、ますます『囲い込み』ね?もうこれ以上『ファン』は要らんのね?」
って感じ、でしょうか。
それでもボクは一介のファン俠者です — てめえの居場所を見失うこたァねえ。
端っから「乃木坂運営」なんか応援していず、乃木坂ちゃんを応援し続けます。
そして佐々木琴子!その義の声望は2期生より流れ入った最大の快事。
いくつもの涙を自分のもののように呑みこみ
「だからこそなおさら辞められない」という巨大な唸りを巻き起こすことのできる
静かながら無敵に揺るぎのない無冠の大器です。
八つ当たりに走ってさえ不思議ではないファンのただならぬ思い入れと悔しさ —
ボクが初めて感じたその暗黒面から、琴子は言葉だけで救ってくれたのでした。








  

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