いつか世界を塗り替えるために — 乃木坂お絵描キストは理想郷の夢を見るか

※前註
まだ今回の卒業ショックから立ち直れずにいる真っ最中ですが
次週『乃木坂って、どこ?』第152回の「乃木坂『画』王決定戦!」に先駆けて
急遽、書きかけだったシリーズ・エントリのパート1を放っておきます。

その前に、今の内に、「手遅れ」にならない内に素早くメッセージをひとつ放っておけば —
好きならば好きだと、言うだけでなくしっかり書いて、天下に広めましょう!
匿名掲示板や140字未満の、署名性のない、読むに足りない文が読まれるのは
「仲間内」の間だけですよ?
「薄い」から「濃い」の、「一般世間」の、せめて100万人に支持されなければ
乃木坂46メンバーのこうした涙はこれからももっと流されるでしょう。
本当にあなたが「泣いた」のならブログのひとつくらい今日にでも始められるはずです。
「ちょっと興味を抱いて検索した」程度の人を、あなたのブログが「ファン」にしていくのです。

ほころびを繕い 傷口をおさえ 寒さと痛みに耐え
慟哭をこらえて 鍛え上げられるものが人の義心! (龐悳)
—『蒼天航路』その三百二十八 より


-----------------キリトリ-----------------------------------------------


I push my paintbrush to conjure a new world while this one is slowly washed away.
— XTC "Ballet For A Rainy Day" より


乃木坂46のインテリジェント/ノーブル感イメージを下支えする要素のひとつに
数名のお絵描キストがその実力と素養をメディア上の端々で見せているということがあります。
もっとも分かりやすく、「見ず知らずの一般の人」にも伝わりやすい例としては
わか(若月佑美)の二科展3年連続入賞、
ななみん(橋本奈々未)の美大中退、
まりっか(伊藤万理華)の芸術大学進学、
がありますが、「公的な基準」にのみ重きを置くことを良しとしない人なら
なーちゃん(西野七瀬)の「どいやさん」のキデイランドによるキャラクター商品化、
まいまい(深川麻衣)の美術系高校でのデザイン専攻、
もまた欠かせぬリストアップ要素に挙げるでしょう。
エントリ76 で述べたように
ボクは排除の論理としての「お嬢様」ウンヌンの言説を嫌う者でもありますが、
人として人のノーブル感/センシティヴ感/インテリジェント感に敬意/尊重を払う
自然な人間感情の一端として「お嬢様性」を賛美するのならそれはもっともなことであり
その点においてこそ乃木坂に「お嬢様女子校性」がある、とはもちろん思います。



面白いのは、このお絵描キスト五人衆が
それぞれに異なるドライヴ/モチヴェーションから絵に向かい
それぞれに異なる目的意識・志向・歓びを絵を描くことに見出している、ということです。
その内、ボク的な解釈の下では
わか&まりっかに近親性があり、なーちゃん&まいまいに近親性があり
そしてやはりななみんにはストレンジでビザールな独特の指向性が感じられます。



もったいぶらずにななみんから。
ななみんは意外っちゃあ意外、当然っちゃあ当然なことに
「絵を描くことそれ自体」には特段の愛着やこだわりを持っていず
絵を描くこと/能力をひとつの「ツール」として捉えているフシがあります。
ななみんの場合、そのツールを使って
頭の中、論理的思考、人間社会への知識・理解・解釈・理想から生まれた
「あるべき何か」「あるべき世界」「ストーリー」を具体的に現出せしめることにこそ
その目的意識・志向があるのでは、と思われるのです。
彼女自身の過去の言にある「インテリア・デザイン」「空間デザイン」は畢竟
「人間のより快適で潤いある生活・時間・精神状態」を生みだす学であるのですから、
それに要する絵自体の「上手さ」「独自性」などは二の次で
どんな人間理解/コンセプトがそこに含まれ、また含まれるべきなのか、こそが
ななみんの真の関心事・目的意識の在り処である、と言えると思うのです。
ななみんの絵といえば、その名も高きカンガルーの絵、漫画風の頬骨の立った人物画、
クールな質感の写実的な夢の中のホテル室内の絵などがありますが、 ※1
カンガルー:かわいらしい動物としての哺乳類描写には興味がない
人物画:かわいらしく描くことでなくストーリー性/伝達性に重きを置いている
ホテル室内の絵:完全に写実性/伝達性に重きが置かれている
と考えると
その上手いのか「画伯」なのか分からない両極性の説明がつくとも言えるのです。
何であれ「絵」を発表する時のななみんは
照れくさそうな謙遜・苦笑の表情を浮かべていることが多いのですが、
それは逆から見れば
「この絵自体は別にそれ自体どうってほどではないんですよ?」と言ってるようでもあります。
その一例として、『乃木坂って、どこ?』第71回の2月生誕祭時の小5時の「西っ子賞」作品に
「パースがおかしいよなあ、でもこの頃は頑張って描いてたよなあ」とばかりに
面映さと苦笑と感傷の入り混じるような複雑な表情を見せていたのが感慨深いところでした。
ともあれ、ななみんが絵を使ってやることというのは
理想の世界の設計図/青写真のパーツパーツ、その覚え書きメモ であるか
絵を使ったストーリー作品 — 典型的には漫画やひとこまイラスト である
とするのが順当な気がします。
周知のようにななみんの才は
口頭/文章にかかわらず「言葉」の面でこそ最大限に発揮されるものであり、
人によっては「なんてもったいないことを!」と言われそうな美大の自主退学も
ななみんの自分の可能性の探求途上にあっては自然で必要なことのひとつ、であったのでしょう。



言葉と絵を使ってのアートといえば、典型的には漫画というフォーマットが浮かびますね。
また動画作品(映画・ドラマ・アニメ・MV)の脚本&絵コンテ、なんかも。
わか、まりっか、ななみん等で連名コラボで造る動画!なんて企画が持ち上がったら
これほどご当人たちにもファンにも嬉しく甲斐のあるものはないでしょう。
そういうことの実現もそう遠くないはずとボクなんかは期待しています。
でなくともそもそも、ななみんの言葉の才は既にこの世界を一部ながらでも変えつつありますし、ね。



イヤな予感は最初からしていたのですが、
ひとりあたまに割くべき紙面が予想以上に大きいので、次回以降に続けるといたしませう。



※1 参照
カンガルーの絵:『乃木坂って、どこ?』第5回「メンバー33名にアイドル適性テストを実施!!」
漫画風の頬骨の立った人物画:『どこ』第103回「4コマイラストで映画をオススメしよう 」
また、乃木坂46『【第5部】乃木坂46の1stライブDVDを乃木坂メンバーと一緒に観よう!』
動画内03:46地点、イラスト「生駒がショートでキラキラ度10倍増」なども
夢の中のホテル室内の絵:『どこ』第118回「乃木坂46 初夢グランプリ」








  

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