音がした 乃木坂ちゃんの器の音

音がした
天下に思いを巡らせた後
奥深い所でどしりと落ち着く重い音
劉 玄徳の器の音
この音を曹操の巨大な風に乗せて轟かせたい!
まずはこの蜀! さらに策を! さらに前へ!  (龐統)
—『蒼天航路』 その三百二十七 より



いやあ、良かったですねー、10th選抜発表回。
14/08/03(正確には08/04)の『乃木坂って、どこ?』第145回:
「10thシングル 選抜メンバー大発表!」は
「こんなこともしかしたら初めてでは?」というくらいに
順当で、気分を悪くさせるムチャ出もなく、ポジティヴな可能性にだけ期待が膨らむ
正常進化・通常運行の選抜発表となったと感じます。
とりわけ「良かった」のは
乃木坂ちゃんたちがもう、何物も怖れないと言えるくらいの強さを身につけ
そのおかげで選抜発表が単なる「開会式」程度のものになった
と感じられたところです。
大事なのはこれから始まる「競技・試合」—
そのシングル期の間に為される乃木坂46の全活動の内容であり、
発表は発表、それ以上のものではない、
小説で謂えば「第一部」とか「第一章」とか印字してあるだけの1ページにすぎないものと
なったのです。
インデックス・見出しなんか内容・コンテンツ・プロダクト・クオリティとは関係ないですからね。



好きも嫌いもどっちでもないも合わせて
乃木坂ファン全体が固唾を飲んで見守っていた、
そして「そうでなければぬっ殺す!」くらいの勢いで待ち望んでいたのは
もちろんちーちゃん(斎藤ちはる)の初選抜入りでした。
予定され約束され「単に時間の問題」なイシューであったにしても
未曾有の波乱含みの今の時期にあっては「わりぃ、今回だけ泣いといて」みたいなことを
切羽詰まり・背水の陣・正念場を言い訳にして
「運営」はやりかねないなぁ、やだなぁ、怖いなぁ、と一抹の不安はあったわけです。
めでたく、運営だってそこまで愚かでも鬼でもないってことが証明されたわけですし、
ウェイヴィー・ロングの女優さん顔オトナ美人と化した
そしてまだまだ知られざるお笑い体質の持ち主であるというちーちゃんの
ポテンシャルが目一杯「選抜」の場で活かされるのを楽しみにしましょう。



今回、形式的・機械的な見方をすれば、「上位」メンバーで「下がった」「落ちた」のは
なーちゃん(西野七瀬)ななみん(橋本奈々未)さゆりん(松村沙友理)わか(若月佑美)
と言うこともできます。     
また「上がれなかった」も含めれば
まいやん(白石麻衣)まいまい(深川麻衣)れかたん(桜井玲香)真夏さん(秋元真夏)
生駒ちゃん(生駒里奈)を数えてもいいでしょう。  ※1
ところが、この「下がった」「上がれなかった」メンバーたちは
下げられた/上がれなかった/悔しい/残念だ、みたいなことを言っていません。
(強いて挙げればわかの例がありますが、それは別エントリで)
彼女たちが言ったのはほとんどが
・これから乃木坂をどう進めていこうか
・そのために今、何を自分は考えるか
ということでした。
松村「みんなでポジティブポジティブ言って で、ファンのみなさんもポジティブにできるように
   どんどん 前向きにがんばりたいと思います」
桜井「乃木坂を またさらに こう、加速して いい方向に進めていけるように
   このシングルではがんばりたいなって改めて 思っています」
秋元「わたし乃木坂がほんとに大好きなんで 引っ張っていけるくらいの存在になるように
   もっと成長してがんばりたいと思います」
白石「乃木坂ももう3年めですし ほんとに 大事な時期だなっていうのはすごく感じるので
   個人的にもそうですし 全体も なんかもっと 幅が広がっていけたらいいなと思います」
  「わたしも橋本といっしょで 『や、変わるな?』と思いました」
こうした言に見られるのは
"自分がトップを獲る、自分が前列に立つ、とかはもはやどうでもいい。
それをやると乃木坂46がどう見え、人々がどう動くか、
その結果として乃木坂46がどこでどう上がっていくかこそ大事"
という巨視的視点です。
敢えて自慢げに言うならば、ボクは
エントリ44 エントリ45 エントリ64 で、ずっと一貫して
そういう乃木坂ちゃんであってほしい、そういう乃木坂ちゃんでこそ天下に相応しい
という趣旨のことを語ってきました。
じわじわと端々では見えていたそういう「熟し」が
いよいよもって「選抜発表回」でも安心の、かつ清新な形で表れるようになったと見ていいでしょう。
もう彼女たちの気持ちは
乃木坂内序列/乃木坂内レース/乃木坂内ストーリーから脱却できているのでしょう。
「乃木坂を上げたい」「乃木坂はまだまだ序の口だ」「乃木坂はこんなもんじゃないよ」—
それぞれに異なる志向・ヴィジョン・活動形態・得手不得手を持つ各メンバーが
それぞれの在り方・考え方のまま、強制も折伏も多数決も不要な形で自然体で
「乃木坂を上げたい」1点に集束する「快活で自由な幅のある合意」に達した、と感じられるのです。
異なるルートで頂上を目指して登山してたら、見えてきた頂上はやはり同じだった、みたいな。
われわれファンが期待する以上に、乃木坂メンバーの人間力は高く、その絆も堅いのですよね。



こうなったからにはもう、乃木坂は無敵ですよ。
その無敵っぷりは、ここでは採りあげなかった他の選抜メンバー、セカンド・ライン・メンバー、
研究生の、続いて更新されていったブログ記事でも明らかです。
多くのメンバーの物言いが
"「上がれ」なくてごめんね、わたし推しのみなさん。
でも、わたしは燃えてわくわくしてますよ。やることがあるから!"
という方向性からのポジティヴな意識で共通しています。
そして、8th、9th時代からもう1歩進んだな、という点としては
" 信じてるし、信じられてる。それは分かるし、感謝してる。
でも序列に拘るのはやめて、今わたしのやってることそのものを見てほしい"
という方向の、お願い・要請・示唆・決意表明の部分が出てるとこですね。
「メディア選抜」と「アンダー・チーム」と各々のソロ仕事はもう同等・同列だし、
全部合わせて「乃木坂46の活動」なのだ、という自信と誇りと熱意の表れでしょう。



覇業は人の心と同じだ
"残り"というものがない
戦に勝つ度にやらねばならぬ事にやりたい事が加わり
心はどんどん自由に なってゆくぞ  (曹操)
—『蒼天航路』 その百八十七 より



それだけに... 何と言ったらいいでしょうね?
「運営」側へ、外部クリエイター側/プロダクトへ、マネージメント側への
乃木坂ちゃんたちの要求・意向・リクエストはますます大きくますます精密になっていき
ひとりひとりが自分の修練・タスクをこなすのみならず
セルフ・プロデュースをし、さらにはクリエイティヴ面にまで大きく絡んでいきそうな気がします。
10thは何か、かなりスゴい、そして新しいものが見られる期待大ですし、
晴れて「兼任期間」が終わっての、思いっきりな11thでその真価はフルに発揮されるでしょう。
興味深いことに、乃木坂ちゃんたちと運営は「この辺正念場だぞ!」という点では
利害も認識も一致してるフシがあって...
いや、話が拡がりすぎるので、この辺はまた別に。



ここから先はナナミストとしての正直な思いを書きます —
と続けるつもりでしたが、
結局は軽く20行を超え、それでもまだ十分ではなくなったので次エントリで。
ワカツキスト、イコマー、サユリンガーの方々もどうぞよろしゅうやばしゅうに。



※1
ボク的には2列め3列めのセンター、中右中左、右端左端には
序列的な区別のつけようがないと考えています。
歌割り、立ち位置、移動フォーメーション、カメラに映りやすい/にくい、で
有意な大差がないからです。








  

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