鉄壁を目指した擦り合わせで別物に生まれ変わった『NOGIBINGO!2』

乃木坂46ファンであればあるほど「全く面白くない!」「面白くないだけならまだしも不愉快だ!」
という最大限の罵声を浴びせた日本テレビ『NOGIBINGO!』でしたが、
『2』では驚くべき起死回生っぷりを見せ
テレビ東京『乃木坂って、どこ?』の不足点を見事に補完する傑作との誉れも高い今日この頃です。



『NOGIBINGO!』の敗因は
一般的な声としては「下品」「いやらしい」「乃木坂ちゃんを汚すな」
みたいなところが挙げられましょう。
ですがボクが思うには、そんなことより何よりも
「こんなんだったら乃木坂46でなくてもいい」「こんなんだったらどこの誰でも全く変わらない」
という、粗雑で十把一絡げで、ファンのみならず視聴者層全体を舐め切った
「どうせあんたらこういうギャースカ騒ぎを面白おかしくやってれば十分喜んでくれるんでしょ?」
とでも言わんばかりの侮りに敗因があったのだと思います。
それは何もこの局のこの枠に限った話ではなく、
近いところでいえば『はねるのトびら』のようなコント番組が
すぐに大型長尺ゲーム/イヴェントに特化された1時間番組と化し
そのため「ああ、またアレしかやってないのか」と視聴者から愛想を尽かされるのに似ています。
ぶっちゃけ、『NOGIBINGO!』のような番組では
ある日の放送のキャストがAKB、NMB、SKE、HKT、ももクロ...に
はたまたその辺の素人女子中高生たちに
こっそり入れ替わっていたとしてもクオリティが変わらないのです。



『乃木坂って、どこ?』がニッチながら神番組の称号を得て
「乃木坂を知りたければまず『乃木どこ』を!」という程のキラー冠番組となっているのは、
もちろんバナナマン両氏の手腕・尽力・思い入れもさることながら
何よりも乃木坂メンバーの個々のキャラクター/人格がまざまざと虚実の皮膜を超えて
「誰だか知らんがとにかくこの人は面白い/興味深い」という人間ドキュメンタリーの域に達して
強く迫ってくるからなのです。
(ここでは省きますが、エントリ36エントリ39をご参照あれ)
そこでは「乃木坂でなければ」「いくちゃん(生田絵梨花)でなければ」
「ななみん(橋本奈々未)でなければ」「かずみん(高山一実)でなければ」...の、
ならではのオーダーメイドの必殺のアブストラクトでナンセンスでポップな笑いが日々繰り出され、
おそらくは「アイドルなんかに興味ない」という人たちをも虜にする魅力を放っています。



「番組へのご意見・ご感想」や、おそらくはネット・リサーチの結果をも加味して
『NOGIBINGO!2』はがらりと、全くの別物と言っていい番組に生まれ変わりました。
そう、「乃木坂でなければ」「乃木坂ならでは」を考慮して
個々のキャラクター/人格を活かした、地味で静かに見えても深くプログレッシヴな方向へ
シフト・チェンジを図った結果でしょう。



第1回では
ファンのみならずメンバーにも不評だった『NOGIBINGO!』の問題点は何だったのか、という
メタ視点をそのまんまエンタテインメント化する
"乃木坂メンバーに『NOGIBINGO!』への愛はあるのか 隠し撮りで大検証" という企画で
鬼先輩の仮面で二期生の出番を気遣う生駒ちゃん(生駒里奈)
なぜか生クリームは譲りたがらないイミフなまいやん(白石麻衣)
滑舌の悪いスタッフのものまねをする奈々未先生
大御所のように不敵な態度の"私はいい人です"じょーさん(能條愛未)
プクっと頬を膨らませ不満を表すいくちゃん
生田絵梨花の代表作がビンゴ批判ウクレレ弾き語りではイヤと主張するいくちゃん
体を掻き続け無意識に嫌悪感を表してしまってるゆったん(斉藤優里)
『NOGIBINGO!』は絶対いいものなんかにならないとにこやかに頑なななーちゃん(西野七瀬)
『NOGIBINGO!』の企画は8割くらいやりたくないというなーちゃん
ヴァラエティは苦手なのでと泣き出し2回の休番権を獲得する(ウソ)なーちゃん
プロフェッショナルに嫌われ変態キャラを貫く "スゴいイイ人" イジリー岡田氏をキャラ殺し
と「乃木坂ならでは」「そのメンバーならでは」の面白さ満載で
好調なスタート・ダッシュを切りました。

第2回では目玉の2期生初登場で、コスプレ2期生と1期生のゲーム対決。
陸上部ユニで史上最大級の脚出しを恥ずかしがる堀ちゃん(堀未央奈)
新旧バスケ部デモ・バトルを奈々未先輩と繰り広げるりさこ(矢田里沙子)
かずみん名入りタオルで乃木ヲタっぷりを披露するかりん(伊藤かりん)
ファニーなふわふわキャラでなまはげ衣装でもかわいいあーちゃん(鈴木絢音)
乃木坂最高身長を達成してしまいそうなフィジカル・エリートっぷりと精悍な水泳キャップ姿が
眩しい中2の女子大生きょうちゃん(米徳京花)のエア背泳ぎ
女教師コスのタイト・ミニで伝体ゲームでもセクシー要素全開のまいちゅん(新内眞衣)
おでこ全開&剣道着姿で知られざる凛々しい美形っぷりをTV初披露した琴子(佐々木琴子)
などなどと、
1期&2期の大人数ゲーム対決企画としては非常にリーズナブルにならではの魅力が出ていました。

第3回は、『乃木どこ』では手を替え品を替えで定番の「妄想ドラマ化」ネタなわけですが、
公募によるファンの、そして漫画家:江川達也氏、SKE48の松井玲奈ちゃん、芸人:岡田昇氏の
錚々たる妄想投稿がグッドすぎるジョブをこなし、本家『乃木どこ』を凌ぐ勢い。
この道では四番打者、メンバーからの萌え賞讃も大きいまいまい(深川麻衣)
珍しく眠れるエロティック・ポテンシャルを開花させるれかたん(桜井玲香)
最後までマニアックに終始しどんでん返しもないドM妄想でヤンキーを演じるかずみん、
せいたん(畠中清羅)、じょーさん
ペットの犬に成り代わりたいという本名:岡田昇氏のコア妄想に応えるまいやん
と、順当&ユニークな妄想ドラマが繰り広げられる中、
圧倒的にプログレッシヴだったのはさすがの松井玲奈大先生の生駒ちゃん愛炸裂の妄想でした。
「禁断の...」と題されたこのドラマでは
一部(乃至は多数)の生駒ファンからも不評な、そしてボクも失敗でしょー?と感じる
生駒ちゃんのボブ・ヘアとその女の子らしさへの脱却トライアルを最大限に活かすべく
その道の大家;玲奈先生が腕によりをかけたヤバヤバの技巧的ドラマ作りをなさってました。
「玲奈とお泊り久しぶりだからすごい嬉しいな」から始まるそのドラマツルギーの強力さは
乃木坂46フィールドをはみ出して話題性を拡げるすばらしい援護射撃ともなったことでしょう。

第4回の "メンバー撮影の実家映像 完全流出" もまた2期生参加で
『乃木どこ』では「聖誕祭」や家族密告ネタで類似既出の企画でもありますが、
幼少時でなく現行リアルタイム、メンバー自身の撮影、選抜16、7名に限定されないフィーチャー
と、ちょうどいい「ずらし」による中毒者へのサプリとしての価値もよく出てました。
個人的に白眉だったのは、ちはるん/ちーちゃん(斎藤ちはる)家の伝説の「斎藤家の歌」。
作曲者のガタイの良いアメリカン趣味のお父さんの初心者ギター、作詞者の妹さんの初心者ピアノ
の素っ頓狂なバッキングで披露され、
「あのコは誰!?」現象を惹き起こしてしまいそうな妹さんの美貌がメンバーに賞讃されてました。
他には
撮影のみならず編集まで知らずに独力でやってきたかりん、
「えっ!神奈川で、庭に!?」と驚かされるモグラの盛り土を撮ってきたきょうちゃん、
大好きなのに嫌われてるという弟くんとイミフな絡みを無言で繰り広げるまっちゅん(松村沙友理)、
あたりが個人的にはアタリでしたね。



これはまあ、痛し痒しではあるし、それでこそそのクオリティが保たれてるとも言えるんですが
『乃木坂って、どこ?』はいつの頃からか、じわんじわんと段階的に
出演はシングル選抜の16、7名限定
特別な理由ある際のみ+α名
「レギュラー」が欠席したとしても補填メンバーはなし
編集後フィーチャリングされて残るのは数名の強力メンバーの強力なシーン
というふうに、少数精鋭による高密度な見せ場方向にカヴァー範囲が狭くなってるんですよね。
たとえばボクなんかだと「ななみん!いくちゃん!かずみん!ああ今回もさすがだった!」で
満足できるのはもちろんそうなんですが、それでもやっぱり「他」の楽しさも観たいわけです。
であればなおさら、「推し」が「主戦力メンバー」でない他のファンの哀しみはどうあらむ、と
『乃木どこ』だけでは到底満足にはほど遠いって感覚も分かるのです。
そんな中、まるで『乃木どこ』がどうしても取り漏らす領域を拾ってくれるかのように
多数のメンバーに順繰りランダムに出番を作ってくれる『NOGIBINGO!2』は、
ロクに期待していなかったにもかかわらず前作とは異なる優良番組になっていて
「ああ、日テレと"運営"間でよっぽどみっちり擦り合わせがあったんだろうなー」と
感心と感謝と可能性への希望を持って楽しみに観ているボクなのでしたー。



 








  

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