佐々木は親友なんですよ、と齋藤飛鳥は言った
趙雲「あなたに行き場がなくとも劉備玄徳に生き場を求めて来る者がいる!
そういう者がいる限りあなたは世に自分の居所を示し続けねばならない!
劉備玄徳は戦い続けそこに生きていることを知らせ続けねばならない!
それが一度天下に名乗りを上げた者の運命(さだめ)でしょう!」
劉備「おいらの覇業はもうおいらが自分で勝手にやめることはできねえ
そういうことか」
趙雲「先ほど出ていった子供たちの心の中にも劉備玄徳の覇業がある
それが本当のあなたであろうとなかろうとあなたはそれを受け止めねばならない」
劉備「お おいらの
おいらの知らねえ奴らのどんな思いも何もかも丸ごとひっくるめてこの袋に飲み込む!
それが天下万民になり代わるおいらの覇業だってえのかい! 趙さん」
ー『蒼天航路』 その百六十五 より
前々エントリ:個の帰るホームとしての乃木坂学園と華のあすか組の胎動 が
何らかの不思議なシンクロニシティを喚びでもしたのか
とある狭く暗くジメジメした地下の一部の乃木坂領域で2017年8月、
期せずしてあしゅ(齋藤飛鳥)x 琴子(佐々木琴子)コラボ待望論というものが巻き起こりました。
直接のきっかけは去る8/4発売の『NOGIBINGO! 7』BD/DVDの特典メイキング映像での
飛鳥さんのお言葉
「佐々木は あのぅ 親友なんですよ 会うたびに『わたしたち親友だよね?』って言うんですよ」
だったでしょう。
そこでのあしゅは、いつものように本心の分からない説明抜きのお戯れ口調でクックク笑いつつなので
「親友」もしくは「辛友©️山﨑怜奈&渡辺みり愛」の意味するところは知れず終いなのですが、
重要なのはこの言の出た文脈上の絡みです ー
齋藤「あの 『ささきとすずき』? やったじゃないですか あれやりたい」
スタッフ「誰でやったら面白い?」
齋藤「誰だろう…? 佐々木は あのぅ 親友なんですよ
会うたびに『わたしたち親友だよね?』って言うんですよ
だからたぶん一緒にやったら楽しいし
鈴木(絢音)も なんか 最近ちょっと1期生に心を開きつつあって よく喋るようになって
ま たぶんロケだと喋んないと思うんですけど たぶん面白い」
スタッフ「あればいいですね」
齋藤「いっひひ 絶対ないし いいですw うっふふ」
「絶対ない」「いいです」と言いつつ、ここにはあしゅの本心が表れているように思えます。
過去エントリ:無礼講空間の魔術師 — 齋藤飛鳥の愛の合気道承伝さる の註を再び援用すれば ー
— 2期生と仲がいいですよね。
これからのことを考えたら若い子がもっと前に出ないといけないし、個人的にも仲がいいので何か一緒にやれることがあったらいいなと思ってます (『EX大衆』2015年11月号「今、あしゅみなに聞きたい12のこと。」)
客観的に見て、2期生と何かする企画なら私の違う一面が見られるかもしれない。(『EX大衆』2016年1月号「乃木坂46の2015年 上り坂から見た景色」)
ー というふうに
あしゅは、前々から自身にとってものキラー・プロダクトを生み出すパートナーとして
2期生各々を念頭に置いていることをそこかしこで公言していたのです。
それにも増してボクが、多分に勝手な思い入れのおっ被せを承知の上で
あしゅ x 琴子のコラボに以前から密かな期待を寄せてきた所以は、
この2人がある意味でななみん(橋本奈々未)の系譜を継ぐ
人間性の、言説の、ヴィジョンのアイドルであるがゆえです。
ともに二男一女の末っ子、という以上にこの2人にある強い共通点のひとつの表れとして
ボクは、あしゅ&琴子のペットに対するメンタリティとその表現に以前から目を留めていました。
おそらくはいまや多くの「乃木坂ファン」が知らないし気にも留めていないであろうこのトピックを
(もしかしたらご当人たちには面映さのタネとなるだけかもしれないとは思いつつも)
ここで今更ながらに採りあげてみることにしましょう。
あしゅの場合、齋藤家で犬を3匹飼っていました。
内2匹は障碍を持っていて、その1匹は2014年に亡くなっています。
藤井システム。いや......恋の藤井システム… | 乃木坂46 齋藤飛鳥 公式ブログ
昨日はお仕事だった んですが!すごい楽 しかったの!!... | 乃木坂46 齋藤飛鳥 公式ブログ
上の13/03/29のブログであしゅは2匹の障碍について触れ
「小さなこども」だった自分と(当時の)今の自分の意識の変化について語っています ー
「ポメラニアンは、あいちゃん
シェルティーは、マーチくんで、
アメリカンコッカーだけは
色んな名前で呼んでます(笑)
マーチくんは14歳で、すごい痩せてて
耳が全く聴こえません」
「アメリカンコッカーは同じく4歳で
知り合いからもらいました」
「ちなみにこの仔は、遺伝で
目が全く見えません」
「ペットを大事にする人は
めっちゃいい人!
っていうのがあしゅのイメージ。笑
あしゅは正直、大事には思ってるけど
行動には表してなかったなーと。
んー、難しいところなんですけど、
ペットが癒しとかはあまり思ったことがなくて。
でも、2匹が歳をとったり病気だったりして
命について考えることが多くなって
犬に失礼な事してたなと思って、
改めました( ^ω^ ) 」
ー そして、マーチくんがおそらくは寿命で亡くなった下の14/01/24のブログでは ー
「2014年 1月19日 18時半頃
齋藤家の愛犬、マーチが 天国へ旅立ちました。
マーチは、1999年 3月28日うまれの男の子で
私が1歳の時に家にきて、それからはずっと一緒に育ってきました。」
「だけど今は、ブログを書きながら涙がとまりません。
もっとお散歩に連れて行ってあげたかっった。
もっとかわいがってやりたかった。
おじいちゃんになって耳がきこえなくなっても、歩けなくなっていても、もっともっと撫でてあげた
かった。」
「さいごに挨拶しにきてくれたのかなぁ
ごめんね、マーチ、ありがとう。ありがとう。」
ー マーチくんの死を悼み悲しむ感情のみならず
自分はもっと生きている間にかわいがってやれたはずなのに、という自責・後悔の念が窺えます。
ペットを飼うこと、ペットをかわいがること、人間とペットの関係、人間の自意識と身勝手…
そういうことをも併せて考えてしまう、考えずにはいられない
言説の人、ヴィジョンの人:齋藤飛鳥が感じられるのでした。
琴子の場合、佐々木家で犬と猫を飼っています。
ブログに登場することの多かった黒猫のグルちゃんも障碍を持っています。
研究生時代のブログで初紹介から早々と、琴子は13/09/19に次のように書いていたのでした ー
となりのコトコ | 乃木坂46 研究生 公式ブログ
「そうそう!
以前のブログでグルをちょっとだけ紹介しましたがまだ話していない事があります
グルには左目と右足がありません
以前載せた写真では目と足が無いのをわからないように撮りました
ですがツーショットを撮ろうと思ったのですが目と足が無いのがわからないように撮ることができな
かったのでこの事を話すことにしました
ということで、ツーショット載せます!」
隠そうとしたってしょうがない、体に不自由があってもこれが私の愛猫、
その画像が「アイドルのブログ」にふさわしかろうがなかろうが構いはしない、という
琴子の愛と気骨がさりげなくも確かに表れた見事な発信だと感じられたものでした。
そうしたあしゅと琴子のメンタリティに共通する点を見出すとするならば
命には優劣も美醜もなく、それを愛おしむ人間の心にこそ当てるべき焦点がある、というふうに
まとめて然るべきところでしょう。
人一倍情に動きやすい心を持ちつつ、それを俯瞰する理性と社会性で複雑に錯綜する内面 ー
2人の笑いの武の質を鑑みてもそれは自ずと知れるものと思います。
去る6月の文化放送ラジオ『レコメン!』企画「女性アイドル顔だけ総選挙」での
琴子の3位に代表されるようなアイドル・ファン界のある種の残念さを、ボクは嫌い蔑む者です。
佐々木琴子のファンなら、「てい」としてでも「顔だけ」の言に抵抗を感じるものでしょう。
齋藤飛鳥を伸し上げ、佐々木琴子を支え続けてきたのは
ルックスだけで好きになり、ルックスだけをプロダクトで楽しみ、
より「ルックスのいい」「自分好みの」アイドルが出てくればじきに乗り換えていく
そんな「層」では到底ありますまい。
多分に内輪のシャレくさい ”佐々木は親友なんですよ” 発言はともかくとして、
物事の本質と人間/社会の奥の奥への探究心で一部に知られるあの飛鳥さんが
琴子の未だ知られざる、不思議にも奥深い内面に「目をつけている」とすれば
それは必ずやいつかどこかでぶっ飛びのプロダクトを生むに至るはず。
勝ち馬に乗るのが好きな人も、勝ち馬には興味を失くしてしまうという人も
今一度、乃木坂の水面下ダイナミクスを「掘って」知ってほしいと思うボクなのでした。
