果たせぬ夢、尽きせぬ想い — 齋藤飛鳥、嫁への愛をブルーズる


Kid, precious kid
Your eyes are blue, but you won't cry
I know angry tears are too dear
You won't let them go
— The Pretenders "Kid" より

There is no Chicago urban blues more heartfelt than my lament for you
— Prefab Sprout "Cruel" より



2016年5月6月の "休止&放送延期やきもき" に続いてまたしても、の
世界卓球&全仏テニス放映による『乃木坂工事中』休止&延期の今夜ですが、
"18th選抜発表どうなってんの 始まってんの始まってんの?" 系の焦りは感じていないボクです。
せっかく3rdアルバム収録曲 "君にサイダー" こと「スカイダイビング」が
「夏曲」の役割を果たしてくれてるわけですから
低評価が定番となってしまっている乃木坂夏シングルは今年はナシにして
クリスマスからヴァレンタイン、そして2/22のバースデイ以降までのロング・セラーを期した
必殺の切ない系秋冬シングルを9/22の映画版『あさひなぐ』公開に合わせて打っていく、
そうしたモノホンのヒット曲狙い — メンバーも長らく待望する「新たな代表曲」狙いが
そろそろ必要なんじゃないか、いい加減やってくれるんじゃないの、と思う次第なのです。
いや、実際問題として夏のコンサート・ツアーも控える今、アルバムに12曲も放出した直後の今、
「作家陣」のみなさんや乃木坂メンバーに無理強いしてリソースを振り絞ってまでの
例年どおりの夏シングル進行は無理筋としか思えませんし。



そして何より、ボクのようなナナミスト/アスカーは
アルバム『生まれてから初めて見た夢』のType-Bを、もっともっとこれでもかとばかりに
プロモしてプロモしてプロモし倒してほしいと望みます。
全タイプ中、「サヨナラの意味」と「ないものねだり」と「硬い殻のように抱きしめたい」が
一緒に収められているのはType-Bだけですからね。





'16年の10/30、11/06、11/13の3週またぎとなった『乃木坂工事中』の
「16thシングル ヒット祈願キャンペーン in 北海道」回で見られた
あしゅ(齋藤飛鳥)のスタジオでの屈託ありげで泣きそうに切なげな端々での表情に
ボクは我が事のように無念を感じ取ったものでした。
ななみん(橋本奈々未)の故郷:北海道でのツアー収録に
どうしてわたしがいないんだろう/どうして齋藤飛鳥がいないんだろう、と
あしゅとファンの想いにシンクロするものがあったろうことは否定するほうが難しいでしょう。



その後も
同じ「棘人」で妹設定、ながらフィーチャー度は高くない「サヨナラの意味」MV、
『EX大衆』でも支援フリのあったかつてよりの念願あしゅななみん旅行企画も実現せず終い、  ※1
ななみん番組卒業の『工事中』第94回でのナンジャモンジャ演者陣にも参加できず、と
かねてより随所で公言の「期待は持たずに生きる」派のあしゅでもさすがにガックリくるような
ななみん送り出し期間の参加プロダクト欠乏だったかと思われます。



ところがどっこい。
「運営」もしくは秋元康氏からの遅ればせながらの罪滅ぼし、ってわけでもありますまいが、
まさにあしゅのななみんへの想いを推し量り、寄せて外挿したかのような
傑作バラッド「硬い殻のように抱きしめたい」が3rdアルバムで登場したのです。

「何だか疲れちゃった」 珍しく弱音を言った 君らしくない君だから 黙って そばにいてあげる
何があったかなんて 聞いたって何もできない 涙を流してくれたら 今より君は楽なのに...
ああ...

'17年5/6のJ-WAVE『POP OF THE WORLD』内「HARRY’S ENGLISH CLASS」で
フルで先行初公開された際、ボクはこの最初のヴァースだけで既に涙に暮れてしまいました。
「真っ白な妖精」として愛される妹分から、急速に追いついて
せっかくこれから一緒に、同じステージで、丁々発止でパフォームし合えるはずだったのに。
可愛がられて気にかけてもらって話を聞いてもらってさりげなく何かを教えてもらって
でもこれからは、愛し返して気にかけて話を聞いて、なんなら慰めてあげられるはずだったのに。
たとえ何もできないとしても、弱音を言ったり涙を流したりするのに寄り添う存在になれたはずなのに。
ななみんのひととなり、あしゅのひととなり、
2人の既にあった関係性とこれからあるはずだった関係性までもが
フィクショナルかつアクチュアルに外挿されて昇華された見事なラヴ・ソングになっています。



知と理と侠気の人:ななみんの、知られざる心の柔らかい場所に触れ
あるいは優しく寄り添い、あるいは気兼ねの要らない馬鹿話に付き合い、で
悔いの残らぬ乃木坂時間を一緒に過ごせたのはごく限られた少数のメンバーだったでしょう。
6学年、5歳半下のあしゅのことを慮れば、ななみんからは話すに話せないこともあったでしょう。
本当なら、時間がもう少し待ってくれてたら、奈々未を守る硬い殻となる自分になれたはずなのに —
柔らかにたおやかにもシリアスな、あしゅの初ソロ曲にふさわしい名曲でしょう。



今や押しも押されもせぬ乃木坂トップ級メンバーのひとりとなったあしゅですが、
そのヴィジョンの具現化の好例はまだ少なくまだ遠い。
2期生含めても年少クラスの'98年組のあしゅが担うには重すぎる「硬い殻」の役割でしょうが
ボクはその知と情と諧謔の武に、やはり期待してしまいます。
年少メンバーたちの「作戦会議」も気になる今、        ※2
乃木坂おもて仕事に留まらない、何らかの必殺のムーヴメントがその殻になることでしょうから。



 


※1
『EX大衆』2017年1月号「WE♡橋本奈々未 齋藤飛鳥 川後陽菜 伊藤純奈」 より
—『乃木坂工事中』で橋本さんとメンバー5人で北海道に行ってましたけど、橋本さんと飛鳥さんで旅行してる映像も観たいんですよ。
飛鳥)本当ですか?
川後)マカオに行けば?奈々未も「行きたい」と言ってたから。で、マカオタワーから2人でバンジージャンプをする(笑)。
飛鳥)え〜(笑)。
— 飛鳥さんに橋本さんのことをもっと知りたいという気持ちはないですか?
飛鳥)そうですね。5年間一緒に活動してきて、奈々未について知らないことはたくさんあって。そういう意味で何か一緒にできることがあるといいなとは思います。

※2
一例に、『BRODY』2017年2月号「北野日奈子x堀未央奈 バトンを取りに行く」 より
北野)私は本当にどうにかしないといけないと思う。この乃木坂46が好きだからこそ変えなきゃいけない。お姉さん方、ずっと引っ張ってくれた先輩はいいんですよ。ただ、つぎの世代になったときにこのままだと......。
— 難しい問題ですね。
北野)だから「何かしたい!」って昨日話してたんですよ。
— 誰とですか?
北野)ひなちま(樋口日奈)と(齋藤)飛鳥と(相楽)伊織と4人で、ずっと話してたんですよ。「この世代で何かしたいね」って。MVとか曲がほしいわけじゃなくて、団結力が生まれる何かをしたいんです。








  

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