何にもわかっていないんだ 自分のことなんて — 気付きと出会い直しの場:乃木坂学園


気付くのが遅くてうなだれた僕の目が
捕らえたのは水たまりの中の小さな芽 新しい芽

生きていく意味とまた出会えた
自分の価値が今生まれた

枯れても枯れない花が咲く
僕の中に深く根を張る

ほら ここに 揺れる白い花
僕は気付かなかった 忘れられていた名前
僕の中で揺れるなら
折れる事なく揺れる 揺るぎない信念だろう
— バンプ・オブ・チキン 「ハルジオン」より



さっそく前回エントリからの続きで。

『FLASHスペシャル グラビアBEST 2017年早春特大号』の
対談インタヴュー「2期生の現在とこれから」の琴絢(佐々木琴子&鈴木絢音)は
自分たち2人以外の2期生メンバーの魅力を語り終えたところで
お互いについてのさりげなくも深い言説を披露し合います。
まずは琴子から絢音ちゃんに向けて —

— ではここからはお互いについて話していきましょう。まず鈴木さんの魅力を教えてください。
佐々木)私から見たら、頭いいなあって思います。本をよく読んでるイメージがあって。なんていうんだろう。モジ系?
佐々木)雑誌で飛行機の連載を持ってたり、いろんな趣味があって、それをうまく仕事にしてる気がする。
佐々木)去年はお芝居もすごく頑張ってたよね。

本をよく読む云々は別として
ガンプラにしても個人的な趣味にしてもお芝居にしても、アニメ好き漫画好きにしても
「その期間」の琴子&絢音ちゃんには、ブログにせよ雑誌の取材にせよ乃木坂メジャー仕事にせよ
言わば同等の機会、露出、「推され」があったと言えなくもありません。
ところがおそらく、琴子自身には
受けたチャンスをしっかりモノにした絢音ちゃんと、それをふいにしてしまった自分、という
寂しくも冷徹な自己分析があるのでは、と感じられます。
そこには、ブログでも「おおやけ仕事」でも表に出すことのない
琴子の知られざるしょんぼり感と諦念と後悔すら感じられなくもありません。



ところが!
この後数パラグラフに亘って、絢音ちゃんからの熱のこもったシリアスな琴子賞讃が続くのです。

鈴木)琴子こそ、好きなことを仕事にして個人の活動を増やしてる気がする。
佐々木)え、いや、ないよ、そんなに。
鈴木)好きなことが仕事につながるっていうのをいちばん体現してるなって思うもん。あと琴子はブログで書く文章が素敵なんです。
佐々木)指が疲れないブログね(笑)。スクロールが少なくて。
鈴木)私、いろんな人のブログを読むんですけど、あんな文章を書けるって相当なセンスの持ち主だなと思う。
佐々木)文章...っていえるほどの文を書いた記憶がない(笑)。
鈴木)短いけど、人の心をひきつける文章を書くんですよ。
— 鈴木さんにそう言われてどうですか?
佐々木)嬉しいですね! ...文がお得意な絢音ちゃんがほめてくれて。
鈴木)なんか無理してるよ!
佐々木)私は書くということに苦手意識があって。普通の文章を書けるように頑張ろうとしてはいるんですけど、なかなかうまくいかないんですよね。
鈴木)琴子は物事の考え方が人と違うから、不思議なコだなって言われることが多いと思うんですけど、物事の考え方がしっかりしているというか、頭がいいなって思います。ほかの人とは見え方が違うんだろうなと思う。それだから感じ方も違うんだろうなって。
佐々木)嬉しい!
鈴木)琴子のブログをまだ見てない人は一度、見てほしいですね。でも琴子、更新してないから。
佐々木)そう。数秒で見終わっちゃう(笑)。

自嘲含みのおちゃらかしで頑なに謙遜し続ける琴子に
言を重ねるごとにより熱く深くその賞讃の真意を説明していく絢音ちゃん。
インテレクチュアルな興味・関心のブログで知られる絢音ちゃんでこそその異才に目を留める
知る人ぞ知り、実はその支持基盤の無視できない一端となっている琴子の文才/リテラシー。
言説アイドル:琴子の器をまだご存じないという方には
ついでながらに過去エントリ:
軽やかな自在のリテラシー — 佐々木琴子のおしゃまな知性
のっそり構えて突然に — 佐々木琴子の冷静と情熱のあいだ
驚くほどこども、驚くほど大人 — 佐々木琴子の理知と情
嵐を起こしてすべてを壊すの — 天下を笑わせ飼い馴らす佐々木琴子の愛の嵐
をもこの機会に乗じてオススメしておきましょう。



かつて乃木坂での将来の活躍を共に誓い合った「四姉妹」はいまや
選抜常連の未央奈(堀未央奈)、17thシングルで初選抜の蘭世(寺田蘭世)、
アンダー初フロントの絢音ちゃん、アンダー3列目の琴子、と
乃木坂内序列上では差がつき、またそれぞれに新たな別の志向や得意や友好関係を見出だしています。
変わるところもあれば変わらぬところもあり、知っていたこともあれば知らなかったこともあり、
ずっと変わらず好きであり続けることもあれば、新たに知って好きになったこともある —
それはごく普通の「一般」の中高生女子にも、一種「社会人」でもあるアイドルにも
ひとしなみに当り前に起きることでしょう。
ボクはそこにこそむしろ、乃木坂のリアルでアクチュアルなアイドルネスを強く感じます。
「佐々木と鈴木と私で、乃木坂46に何か形になるものを残す」と熱く語る蘭世、
「人一倍、2期生で何かをやりたがる」と琴子に評される未央奈、        ※1
「でも蘭世は、アンダーのセンターで嬉しいの?」と常なる独立独歩の琴子、   ※2
そして、琴子の知られざる才能をインタヴューで熱弁する絢音ちゃん。
そこには、単なる個人的な好き嫌い、乃木坂内での立ち位置、メンバー自身の自己認識を超えた
まさに乃木坂46ならではのプログレッシヴに錯綜するダイナミクスが見えます。
まるで「特待生」「シード選手」のような扱いでスタート時からブーストされる3期生があろうとも
それぞれに4年間の乃木坂学園生活を送ってきた2期生の乃木坂イズムが色褪せることなどないのです。
「運営」的な意向とは別次元で、
変わらない元々の自分と変わり得る新たな自分をふたつながら確かに持ち
そのニュー・ウェイヴとミクスチュアがまた新たなスリルと発見と感動を喚ぶ。
乃木坂学園での各メンバーの気付きと出会い直しの積み重ねこそがファンをこうまで惹きつけるのです。



いかなる運命に導かれてのシンクロニシティだったのか
奇しくも、前篇にあたる前エントリをボクがあげたその前日/当日の未明、
BSフジでの琴絢の共演レギュラー番組:『エージェントHaZAP』の始動が発表されていたのでした。
はしゃぎ笑い感激感涙しハイになる瞬間最大風速に定評ある琴子、
常に冷静に言葉を尽くして正味と整合感ある発信を心懸ける絢音ちゃん。
似ているようで似ていない、それでもやはりどこか奥底で似ている2人のコンビネーション武が
「クランチロールによる欧米への配信」をも得て  ※3
Lord Kotoko & Lady Ayane の快進撃となるのを楽しみにしましょう。


 


※1
蘭世:前エントリ参照
未央奈/琴子:同インタヴュー「2期生の現在とこれから」 より
鈴木)一人で選抜として1期生のなかで活動していた時期があったので、そのぶん、まわりを見ることができる人なのかなって思います。
佐々木)人一倍、2期生で何かをやりたがるよね。
鈴木)たしかに北野と堀ちゃんは、2期生みんなでやりたいねっていう話をよくしてくれる。

※2
2016/12/15発売『グラビアザテレビジョン』vol.49「えとらんぜの秘密」 より
 そして今、選抜とアンダーという違いはあるにせよ、センターというポジションに立てたことには感慨深さがあるんじゃないでしょうか?
「すごくありがたいし、自分にとっても大きな節目になるという自覚はあります。実はセンターに決まったとき、最初に直接『おめでとう』と言ってくれたのが(佐々木)琴子で」
 そうだったんですね。
「お祝いしてくれたんですけど、そのあとに『でも蘭世は、アンダーのセンターで嬉しいの?』と聞かれたのがグサッと刺さって。確かにうれしいんだけど、これはゴールじゃなくて通過点なんですよね。(後略)」

※3 「クランチロール」云々
佐々木琴子と鈴木絢音が新番組BSフジ「ジャパコン Presents 『エージェントHaZAP』」レギュラー出演決定! | ニュース | 乃木坂46公式サイト より







  

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