偶然を運命にして — 今、語りたいななみんといくちゃんがいる
韓遂のじじいは ひとつだけいい事を言ったッ!
貴様は錦だ 馬超!!
美しく義憤を貫けい!! (馬玩)
— 『蒼天航路』 その三百十七 より
乃木坂46の15th表題曲「裸足でSummer」MVの見どころといえば
各誌カメラマンもこぞって寝顔(のてい)ショットを撮りたがる
ぷっくりほっぺのあしゅ(齋藤飛鳥)の赤ちゃん系美少女っぷりを如実に示すシーンの数々と、
マイクロバス内でななみん(橋本奈々未)に絡むいくちゃん(生田絵梨花)とそれを喜ぶななみん、
が双璧だったと言えるでしょう。
ここでは、来たる9月4日24時(5日未明)の第70回『乃木坂工事中』での
「橋本奈々未に聞かせたい 乃木坂不幸話グランプリ!」へのアペリティフの意味も兼ねて
エントリ66に続くシリーズ第2弾として
表立ってはまだそれほど知られざる、いくななみんのおもろさを
『橋本奈々未の「推しどこ?」』の副音声トーク1を例に、改めて詳解しておきましょう。
「推しトーク② #89」は、言わずと知れた第89回:
「子供たちの悩みに答えよう 乃木坂こども相談室!」の未公開シーン含めた最強最凶チャプター。
まだ観たことがないという方には
地獄先生ななみん
地獄先生ななみん その2
を参照していただくことにして、
ここではいくちゃん&ななみんの時にズレ合い、時に響き合う
ナンセンス&スピリチュアル・コミュニケーションの武に焦点をあてます。
番組イントロから未公開シーン、発売を間近に控えていた6thに関して
設楽氏「もう あれでしょ 6枚目のシングル え〜『爆笑トーク』?」
これに対して副音声でのななみんはなぜか大喜び。
橋本「爆笑トーク 似てる! ははっ はははは」
生田「全然似てないよぉ」
橋本「うそ はは はっははは ちょっと似てる」
(2秒ほど間 再び思い出したように)
「ぅっはははは 新曲『爆笑トーク』 ぅっくく」
ななみんはどうやら
ガールズルール < ガールズ・トーク < 爆笑トーク
みたいな連想込みでか、なぜか妙にツボにはまってるらしいのですが
いくちゃんのたしなめるような口調がなんだか姉妹じみてて素敵です。
"自分たちの大事なレパートリーが「爆笑トーク」だなんて。そんなワケないでしょ!"
とばかりに、ツボのおかしなおふざけ屋さんをたしなめる妹ちゃん、もしくはお姉さんのようでした。
4人目の先生:れかたん(桜井玲香)の授業シーンでのトークに白眉がひとつ。
こうきくん「なんで人間はウソをつくんですか?」
この言葉に瞬時にいくちゃんが反応し、被せるように
生田「なんで人間はウソつくんだろうねぇ? なんでだと思う、ななみん?」
橋本「ウソぉ? ...自分が可愛いんじゃないですか やっぱり 自分を守りたいんじゃない? やっぱり」
生田「(不分明)...え〜 自分を守りたいんだよねぇ たぶんねぇ...」
何か自分の中の割り切れない想いをしぶしぶ納得させようとするかのように呟くいくちゃん。
これに何かがツボったらしく、ななみんが激しく嬉しそうに反応します。
橋本「ぅっはっはっは 思う?そう思う? いくちゃんはどう思う?」
生田「思う... 思うけど ウソついたら絶対 いずれバレるから つかないに越したことはないよね」
橋本「まあね 『本当』にできる自信があるウソしかついちゃダメだよね」
生田「ウソつくくらいだったら もう認めて 謝ったりとか もう正直に話したほうがいいと思う」
橋本「あぁ〜ん...」
実にポップでシュールでプログレッシヴでリアルでキュンキュンくる名シークエンスです。
温室天然育ちの完全無欠お嬢さま:いくちゃんが
何やら人間と人間社会の理想と現実、建前と現実の乖離に触れて思うところあってか
いつになくモヤモヤっとした呟きを見せるのに反応して
乃木坂心理分析班室長:ななみんがお姉さん調で話を聞いているのが窺えます。
心奥に正義の武装ゴリラ軍団を宿すいくちゃんの、いたいけな心の揺れも垣間見える興味深さでした。
放送でも大トリを飾った、伝説の橋本奈々未先生の授業。
いくちゃんは「お ここはいいよぉ いい感じだよ」と「コワい いきなりコワいよぉ!」との間で
順・逆ともにの好リアクションを連発させます。
定評ある「鼻からスイカ」の段では「いいよ いいよ 今いい感じだよ よく聞くよ」と
ななみんと同系列のぶっ飛びキャラクターらしく当り前のように同感・共感ベースです。
が、もちろん「3人とか産む人は3回!」の際には
「コワいよ これただの おびや... なんか 脅しみたいになっちゃってるw」と大喜び。
次の質問に移る合間には「ななみん ほんと... 小さい子好き?」とダメ押し質問さえしています。
「何で涙は出るの?」の段では
"嫌な感情を涙とともに排出" というななみんのアナロジー解説をいたくお気に入りのエリカ様。
一転、「これからたくさん 待ってるよ」では「コワいよぉ コワいよぉ」と大喜び。
「仲良くなれてるかな?」「(し〜ん。)」のこどもたちの反応を受けて
生田「え?何これ〜? え でも こどもってさぁ この雰囲気とかで こんなに こう 変わるんだね
接し方とかさ 反応とかが やっぱ敏感なんだと思う」
と、ショウビズ視点からか、真剣に分析しておられました。
放送上でもこの副音声トークでも、白眉はやはり「地獄は本当にある?」のシークエンス。
「もしかしたら 今生きてるこの世界が 地獄かもしれないし」のキラー・フレーズを受け —
生田「え〜〜っ!?」
橋本「ほんとにそう考えてたの 昔からずっと」
生田「ほぉんとに? えぇ? だってここが地獄だったら じゃあ天国は何なの?」
橋本「天国は もうほんとに 天国で
地獄は もう こう 人間って汚いじゃん 感情とかさぁ 醜いしどろもどろがあるじゃん
それに対して もう 一生かけてつきあっていくってことが 地獄なのかなって
人間の醜い感情とか そういうもの... 知って学ぶ...」
生田「へぇ〜〜〜〜〜〜 ...深いね」
授業終わってななみんスタジオ再登場の未公開シーンをバックに。
設楽氏の「『死んだらどうなるんですか』って究極のケース来たね」の言を受け —
生田「でもぉ あたしも結構 ちっちゃい時考えてたよ
小学生の時のほうが 考えて 夜寝る前にどうしても考えちゃう」
橋本「分かるぅ」
生田「で 泣いてた 毎回」
橋本「あぁっ 死が怖くて?」
生田「そう」
橋本「あっはっははは」
生田「まだ人生長いのに」
橋本「死から遠いところにいる人がなぜか考えるよね」
生田「考えるね すごい考える...」
生命力とポジティヴィティと希望の象徴に見える無敵の大天使:いくちゃんと
「魔界からの使者」にして実存哲学者:ななみんの
"乃木坂おもて仕事" においてはなかなか見られることの少ないソウルとスピリットの交感が
さらっとポップにながらもしっかりディープに表れたこのコンテンツは
いくななみんの代表的プロダクトとして、ボクには
『乃木坂46の1stライブDVDを乃木坂メンバーと一緒に観よう! 第5部』
と並んで、今でも貴重な財産です。
カジュアルで笑えるやりとりの内に哲学的・社会的イシューをも扱える、
そしてそれを先鋭的ポップとして提示できるこのカップリングの武はもっと評価されるべきでしょう。
まだまだ身重く横たわる奇っ怪至極な運営方針のミクロ/マクロからか
ファンにしてみれば「なぜそれを見せる?そしてなぜあれを見せない?」というプロダクトも否めない
乃木坂46のまだまだこれからの現状。
フリーキーでプログレッシヴで「一般世間」をも笑わせ瞠目させる橋本奈々未の武の真髄が
久々にまた看板TV番組でフル・スロットルで披露されるのを楽しみに、現場からさようならっ!
