アホという愛し愛され力 — 北野日奈子は余裕ぶっこかない

またもむやみに間が空いてしまいましたが、しれっと前回の続きで
乃木坂46のきいちゃんこときんちゃんこと北野日奈子ちゃんの
ラジオ番組『乃木坂46の「の」』の9代めMC業について、
4回めにあたる第127回からレヴューいっときます。



第127回ゲストのかわたん(川後陽菜)&ゆったん(斉藤優里)は
ともにラジオ番組MC経験者で、かつツッコミ/イジリもボケも両方いけるベシャリ巧者。
イントロのオープニングから、進行に気を取られて一瞬黙りこむきいちゃんに
「おうMC、おうMC」とラジオ番組巧者らしいツッコミをカマします。
ところがおバカっぷりでは競り合うくらいの3人であるため
いくつものナンセンスな爆笑シークエンスを生みます。
イントロ・トークの続きでは
ゆったんの「給湯室 きゅうゆしつ」の読み間違いから
きいちゃんの「OLが愚痴るところ」といういかにもな決めつけが召還され
2人のボケ強者をツッコミ体質のかわたんが孤軍奮闘御していくという基本線が素早く表れました。

最初のコーナー「乃木坂1/3」、
きいちゃんの定型コーナー説明文中の「素敵な何かをプレゼントします」を受けて
ゆったん「何ぃ?」。
ところが進行にあっぷあっぷのきいちゃんは完全スルーで1枚めの投稿へ進もうとします!
かわたん「お、無視なんだw」「MCもたぶん把握してないんだと思う」
ゆったん「あれなんだねw 台本どおりにいくんだねw」
ここはいきなりの神シークエンスでした。
普通なら台本首っ引きでアドリブ効かず、というのは「良くない」ことの筈なのに
ここではすべてが逆転して狂った爆笑シーンとなっているのです。
後付けながらボクは、ゆったんのこの「何ぃ?」自体が
一か八かのハジケを期しての技巧的なジャブだったのではないかとすら思ってしまいました。
また、3番めの投稿「『走れメロス』の作者名を言える人」では
セリヌンティウス、与謝野まさこ(晶子)、宮沢賢治、日本人じゃない、等トンデモ論が多発し
一応は太宰治と正解した筈のきいちゃんは
同時に「セリヌンティウスが書いてる」と暴論している、という非常にカオスな結末となりました。

ふつうのお便りコーナーでは順当に面白エピソードで盛り上がりはしたものの、
長崎のリスナーからの投稿を受けての「川後さん、長崎さん...」とか
「千葉県にお住まいの」を「千葉県出身、じゃないよね」とか
ぶっ飛んだ異次元の読み間違い・言い間違いがいちいち細部に笑いをデコレーションしています。
きいちゃんのアホネス・ぽんこつネスというのもまた
誰も不幸にせず、むしろ幸福にし、スリルを呼びツッコミを呼ぶ美徳・才能なのであるということが
ツッコミ&はしゃぎ屋体質のかわたん&ゆったんのてぃすてぃすコンビによって
よく再確認された良回でした。
ちなみに、きいちゃんは「ルパン三世」をルパン賛成/ルパン酸性のように発音しているので
てぃすてぃすはしっかり拾ってきっちりツッコんであげてほしいところでしたね。



第128回はななみん(橋本奈々未)&真夏さん(秋元真夏)ゲスト回。
いずれ劣らぬ理知派で笑い好きで、しかも俯瞰的視点/知性を持つ2人がゲストとあって
イントロ・トークからなかなかディープで味わい深い話が聞けます。
きいちゃん「今日始まる前に真夏さんに会って 相談したんですよね どうしましょう、と」
真夏さん「そう きいちゃんがMCっていうのを聞いて
     きいちゃんは普段ははっちゃけてワーっていうタイプだけど
     意外とラジオになると真剣に考えちゃって ちょっと悩んじゃうらしくて
     ってまじめに語っていて —」
ななみん「そうだよね MCに回っちゃったらさ なんか 自分がしっかりしないとって思うから
     自由にするというよりは ねぇ?」
『のの』4代めMCの真夏さん、TOKYO FM「GIRLS LOCKS!」MCのななみんであってこその
しみじみしんみりシリアスな共感に基づくやりとりが
キュンキュン、もしくはジュンジュンさせられるくだりでした。

最初のコーナーは「乃木坂イントロデュース」。
滑舌のというよりは語彙の問題らしききいちゃんの「三大オチ」に早速ななみんのツッコミが入り、
「犬と猫よりまなったんのほうがかわいい」のボケに「真夏さん、本気で言ってますか?」、
「でも 真夏さん... かわいいと思ひまふよぉ?」と滑舌が狂いまくり、
「(伊藤)純奈とかたぶん 世の中に出てるのって 声ほんとは低かったぐらいですよね」と突然毒舌、
「おめでとうございますぅ?」とせっかくの優秀投稿者もガックリの疑問形、
等々と、真夏さん&ななみんの攻守ともに自由自在、打てば響く神速サポートを得て
非常にSN比の高い、高度な笑いの連続する好パフォーマンスの1コーナーとなってました。

乃木坂レパートリー1曲お届けは初オン・エアの13th表題曲「今、話したい誰かがいる」。
曲紹介は普段からそうした実務能力に長ける真夏さん。
ところが、すっとんきょうな噛み伝染源として既に名高いきいちゃんウイルスに冒されたか、
「『心が叫びたがってるんだ。』という曲の主題歌」「きょころ」
などと、あり得ないナンセンスぶっ飛びポカをやらかし、思いがけない笑いをもたらします。
過去エントリ「空から降る一億の愛、その誘惑をことわって」でも言及してますが、
きいちゃんの噛み噛みウイルスは
「よし、がんばれ、いいぞ、もう一息だ!」という共演者の感情移入と親心ゆえに伝染するものなので
けっして困ったものなどではなく、むしろメンバー間の愛の表れを示す善きもの、なのですよ。
ゲスト・メンバーが見てて聞いてて危なっかしくてハラハラする、というのは
この番組におけるきいちゃんMC業にあっては、むしろ才能・能力の一部なのです。



この後もきいちゃんは
「歯ぎしりするシーン(激しいシーン)」
「北海道様」
「神が降りてきたパン屋さん(説明抜きで当然の事実のように)」
等々のツッコミを誘発するおかしみと
自分と同様イジられ上手な真夏さんへのイジりを交互にぶちかまし
あっぷあっぷアタフタしながらも笑いの途絶えない放送をキープします。
それは、たとえスキルが足りなかろうがバカにされるような発言になろうが
余裕ぶっこいてはいられない、無難にやりすごしてはいられない、という
ハッピネスへの性急な手伸ばしが瞬間瞬間へ表れる、打算のなさゆえのポジティヴィティであり
愛し愛されることへの利かん坊なくらいの希求からのものでしょう。
「すごいいじめられっ子」だった過去を持ち                   ※1  
「車の中でお母さんの仕事が終わるのを5時間くらい待」つ「超つまらない」高校生活から   ※2
乃木坂46を目指した/運命づけられたきいちゃんであってみれば、
あらゆるおバカ扱い、あらゆるすっとんきょうトーク、あらゆる一か八かの「出」も
やっと辿り着いた愛と希望の地におけるハッピーなトライアルの連続であるのでしょう。



その非力もものかは、2期生の未来と飛躍に過剰なまでの責任感を自ら負うきいちゃんは
この直後の第129回の琴子(佐々木琴子)&あーちゃん(鈴木絢音)ゲスト回で
ぽんこつ武を競い合うという、実に「らしい」自然体で
年少でまだ経験薄な、琴子、そして殊にあーちゃんに、ならではの好援護迫撃弾幕を放つのですが、
そちらは駆け足で紹介するにはあまりにもったいないため、また次回たっぷりと採りあげませう。



 


※1
『BUBKA』2014年5月号「不器用という可能性」より
「私、すごいいじめられっ子なんです。最初は通りすがりに悪口を言われるくらいだったんですけど、ヘラヘラしていたら、どんどんエスカレートしてしていって」

※2
『週刊プレイボーイ』2015年8/31号「乃木坂46物語」第14回 "2期生という名の風" より
「お母さんが学校の近くの病院で働いてて、お母さんといつも車で帰ってたんですね。で、部活を辞めちゃったから、学校が終わったら、車の中でお母さんの仕事が終わるのを5時間くらい待ってるんです。ずっと車の中で...... コンビニのパンを食べてっていう毎日を送っていたら...... 超つまらないじゃないですか。だから、『どうしたら変わるんだろう』って思ってましたね」



  






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