たとえ無垢を失っても — 至弱より飛び立ち至強へと羽ばたく鳳凰:飛鳥

なにもかも歯がたたん!
じゃのに 汗は熱い!
なにゆえか!?
それは わしの血が わしの体が
わしの命(めい)を疑ってはおらぬからじゃあ!!  (孫権)
—『蒼天航路』 その三百四十五 より
 


大仰なタイトルになってはいますが、
かねてからの予告ノルマ:『乃木坂46の「の」』の神回、第89回のレヴューを通して
乃木坂46のあしゅことあしゅりんこと最近はあすかちゃんこと「ファンの方には"飛鳥さん"」こと
齋藤飛鳥ちゃんのアジア&世界展開を併せて寿ぐエントリとなってます。



もはや半年超を過ぎちゃってますが、
2014/12/17放送のあしゅMCのみおな(堀未央奈)&さゆりん(松村沙友理)ゲスト回は
第86回のきいちゃん(北野日奈子)&まいちゅん(新内眞衣)ゲスト回と並んで
爆笑&しんみりが交互に高密度で襲ってきてダレ場なしという歴史に残る神回でした。
そのプログレッシヴな主成分は
その後各所で広く強く披露されることになる
あしゅの言説アイドルとしての新たなる武の器に依拠しており
ななみさん(橋本奈々未)の武を継承する飛鳥さん、というスタンスをも予告するものでしょう。



イントロのフリー・トーク4分強からしてもう、この回のおもろかわいさの通奏低音が全開。
齋藤「クリスマス前の放送ですよ もう。クリスマスだよ?」
松村「え やば〜い。クリスマス・プレゼントじゃん ウチらが」
齋藤「え?」
松村「3人がぁ クリスマス・プレゼントだよ♡」
齋藤「ちょっと黙ろっか。1回静かにしよっか」
いつものコテコテのパルプ・フィクション・アイドル言辞を弄するさゆりんのメタ・ギャグを
シヴィアでシニカルなドSキャラでいなすあしゅ、とシュアなジャブに続いて、
"枕許に靴下"を「1回もやったことない」という意外にもなさゆりんの答え。
0120で始まるサンタさんへの電話を毎年掛けてたが毎回掛からなかった、
"サンタさんも不景気だろうからお母さんが替りにプレゼント買ってあげる" で育った、
というキュンキュン&ほろりしんみりなエピソード。
かと思えば、みおなの
「そういうの信じて... あ『信じて』って言っちゃった(音量減で)」
「そういう儀式とかを大切にする人間で...」
と生真面目に妙なところを気にして、言い繕おうとすればするほど可笑しいという武も活きます。
「枕の根元」という言い回しもファニー。
そして最初の大盛り上がりを呼ぶのは、あしゅの何とも言えず複雑な打ち明け話 —
「中2ぐらいの時までは サンタさんにお手紙書いて 枕許に置いて
 なになにが欲しいです ってちゃんと書いて 置いてたんだけど —
 でも あたし ちっちゃい頃から 全然小学生の時から 今も 絶対 サンタさんがくれるのは 現金なのw」
「絶対 次の日の朝に 起きると リヴィングの ご飯食べるあたしの席に
 封筒に 『飛鳥』って書いて 置いてあるのw
 なんか なんか辛いなと思って だからあたしは ひねくれた性格になってった」
あしゅはこの話を、含み笑いとタメと共に、まるで笑い話かコワい話のようにノリノリで語ります。
それが驚きの内容にもかかわらずさゆりんみおなの相槌や合の手を引き出し笑いまで引き寄せるのは
タフでクレヴァーなあしゅの心と話術がそれを事もなげなエピソード・トークに仕立ててるがゆえ。
いわば「無宗教」の国:日本で育ったわれわれリスナーの大多数の無頓着な「常識」を一旦離れれば、
あしゅのお母さんが
仏教・イスラム教・キリスト教が複雑に重層的に人々を分つミャンマーの出身であることをも鑑み、
それを話すあしゅの複雑な内面を慮らずにはいられないでしょう。
また、歳に似合わぬクールでシヴィアでメタな知性を持つあしゅの「現実主義」の素養が
サンタ伝承のような愛のファンタジーと現実の愛情表現とのギャップを見つめる
幼き頃からの日常から生まれ来ったと考えれば、
あしゅの自嘲ナンセンスじみたイタズラな話しっぷりにもむしろ
超克した者ゆえの強さと穏やかなノスタルジーすら感じられると思えます。
何もかもを丸ごと呑み込み必殺のパフォーマンスに昇華する、2015年に開花することになる
あしゅの大器が、既にして如実に表れた驚異のイントロ・トークでした。



続いて第1のコーナーは「乃木坂学園教員リスト」。
テーマ・ソング:森昌子「せんせい」に裏拍から「せんせい♪」と小声でそっと被せてくるみおな、
すぐさま反応して合唱してくるさゆりん、
「はい ちょっと静かにしてもらっていいですかw 言うことあるんで」とたしなめクール芸のあしゅ、
と、乃木坂伝統のちょっとした悪ふざけシークエンスが初っ端から微笑ましい。
"明日の持ち物として「やる気持ってこい」と言う先生" にいつもの江戸っ子系口調で食いつくあしゅ。
"熱い先生" が顔を合わす度にドッジボールでの妙技をわざわざ未だに褒めてきて、と語り
その面映さと照れくささに「もういいですよ」と呟くみおな。
"行事の予定表などにちょっとしたかわいいイラストを添えてくれる先生" では
乃木坂でもマネージャーさんが付箋等にちょこっとイラストを描いてくれてほっこりする、という
さゆりんの話から、「幸せになりますね」となんだかしみじみと締めるあしゅ。
松村「うふふふふふ ホントに? あすかさん あすかの幸せって何なの?」
齋藤「なんっ... そんなこと訊かないでよw」
堀「たしかに 気になる...」
齋藤「や いつもね 小さな幸せがね たくさんあって — やぁ 日本は平和ですねw」
松村「うふふふふ やだー」
堀「絶対私たちより なんか 精神年齢いってますよ 絶対」
このくだりもまた神がかってますね。
あしゅの「わざとやってます」感を鋭く拾うさゆりん、ぽつりと軽口で加勢するみおな、と
絶妙にフリーキーでタブー・ブレイキングな、思わせぶりが痙攣性の笑いを呼ぶ高度なラリーでした。



まだまだこのコーナーでの盛り上がりは続きます。
お題は "12月になるとクラスでクリスマス会を開いてくれる先生" 。
小学6年生から数えても、よく考えてみると10年経ってるので記憶がない!というさゆりんの話に
そう考えると恐ろしくない?恐ろしい、コワ〜いと軽く沸くまだ高校生の2人。
そして再び飛鳥さんは、含み笑いでデインジャー・ゾーンにまっしぐら —
齋藤「クリスマス会やったよ わたし やったけど
   小学3年生ぐらいまでは ま みんなで楽しくクリスマス会行ってたんだけど
   その後からは なんかあたしはね(笑い声になりつつ)理由をつけてね 休んだことがあるw」
松村「あすかさん やっぱり 何かありますねw」
堀「やっぱりぃ〜 わたしすごい張り切って楽しんでたのに なんか そんな...」
 「めっちゃ年下の子とか背負って 新聞の上に —ってたりしてたのに」
齋藤「かわい〜 かわいいね あたしは何かと理由をつけて早退してた記憶があるw」
堀「あすかさ〜ん」
松村「あすかさんの幸せ何ですかー?」
堀「闇が深い〜〜」
ここはもう、何と言ったら伝わるのか、「ものすごい器」としか言いようがないですね。
けっして笑えるような楽しく微笑ましい話をしてるんじゃないわけですよ?
それなのにこの、あしゅの「ネタを食ってる」感じのタメを利かせた絶妙の話術とスタンスが、
その哀しみを笑い飛ばすと同時に慈しみ寄り添いしんみりするような気持ちを喚起し
併せて聞く者が自分の心や過去をも覗きこまざるを得なくするような
とてつもないプログレッシヴ・ポップを結実させているのです。



命は美しい
初めて気づいた日から
すべてのその悲しみ 消えてゆくんだ
— 乃木坂46「命は美しい」より



2015/04/01放送の『Rの法則』乃木坂特集回において、あしゅは「命は美しい」について
「こういう重いテーマの曲を アイドルが唄うのって...
 アイドルってやっぱりキラキラしてるイメージがあるから ちょっとギャップがあるじゃないですか
 だからどういう風に 受け入れてもらえるのかなって 思ったんですけど
 乃木坂って割と なんか 陰を持ったメンバーが多いなって あたしは思ってて
 だから そういう子たちが唄うから 10代の子たちにも響いたりするのかな、って —」
と語っていました。
2014年の「何もできなかった」前半と「今までで一番濃かった」後半のそこかしこであしゅは  ※1
美しい命とそうでもない命があるのではなく
命はそれ自体で既に美しいという境地に思い至ったのだと思えます。
それがあしゅの、目に見えては2015年からの、見え難くは2014年後半からの
心技体ともにの快進撃に繋がっており、
この『のの』第89回でのベシャリはそれを端的に予告していたものと思えるのです。



行きがかり上、思わず齋藤飛鳥論に踏みこみましたが
切りのいいところでこの回のレヴュー、また次回にたっぷりと続けましょう。






※1
2015/03/30発売『BUBKA』5月号 「乃木坂の乱 vol.40 齋藤飛鳥 覚醒の真実」より
齋藤「なんだろうなぁ、1年でいうとあまり......。後半は、乃木坂46に入って今までで一番濃かった期間だったと思いますけど」
— 前半は何も残せなかった?
齋藤「そうですね。何もできなかったというか......。成長するための期間だから、自分なりにいろいろ考えてやらなきゃいけなかったんですけど、目標も見つけられず、グループにも貢献できてないと思って......。正直、その頃はとても辛かったです。どうしよう、めっちゃ暗くなっちゃう(笑)。」







  

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