『生ドル』第25回2期生スペシャルに見る中田花奈の無償の愛

案ずるな 益徳
あの人の器は呑まれようがない! それだけが美点だ
ガタガタ震えているように見えて
氷の刃さえ呑み込むお人だ  (関羽)
—『蒼天航路』 その百七 より

あんたが曹操を上回る器かどうかはわからん
しかし私の兄弟としては あんたはいついかなる時でも誇れる男だよ
それだけで十分だとわかった
それだけで天下に行こうじゃないか  (関羽)
—『蒼天航路』 その百九 より



放送からはや2ヶ月が経とうとしてますが、
『生のアイドルが好き』第25回:「生ドル2周年!乃木坂46 2期生も2周年SP!」の
2期生出演部分のレヴュー、4エントリめにしてやっとのラストいっときます。



第3のコーナー「乃木坂ものまねメドレー」は
「ぐるぐるカーテン」のサビを、2、3題のものまねキャラで唄うというもの。
くじで1番手に選ばれたあーちゃん(鈴木絢音)は
1題めが「椿鬼奴さん」という難問だったため完全に沈黙してしまいます。
この番組特有の褒め言葉としてのいつもの「事故」からはほど遠いガチ沈黙事故に
急遽先輩さゆりん(松村沙友理)がお手本として
「浮き輪(?)」「クレヨンしんちゃん」「おばあちゃん」「高山一実」と
4つのお題を力技でやり切ることで、何よりも大事な心構えの面でのお手本を見せます。
「わたしも歌下手だけどね 大きな声で唄ったから大丈夫。これよりは上手いよ」とのエールに
再挑戦のあーちゃんは鬼奴はスルーながら「電車の車掌さん」「猫」をなんとかやり切り
温かな「かわい〜」の声を受けてなんとかランディング。
ついでながら、「『猫』書いてあげた人すごい」というさゆりんのコメントに
はい!と誇らしげに挙手する琴子(佐々木琴子)が、まるで立候補したかのようなていになり
「じゃあ 琴子やる気ある?」と押し付けられそうになり全力で固辞するという不条理幕間劇も見事。

2番手はじゅんな(伊藤純奈)。
かなりん(中田花奈)の「じゅんないいじゃん、歌上手いから。ここでね 美声を披露してください」と
ハードル上げのイジりを食らいつつ中央スペースに出てくるじゅんな。
(も〜、勘弁して〜)みたいなしかめっ面や「お腹痛〜」の軽口に、むしろリラックス感が出ています。
お題は「出川さん」「ボビー(・オロゴン)」「トトロのメイちゃん」。
出川さん&ボビーでは謎の演説口調で「誰?」と笑いの嵐、メイちゃんはかわいらしくハジけ、と
無手勝流ながら力強いやり切りで上々の出来映え。
(ほーら、事故ったでしょー)とばかりにプク顔を見せては
「怒ったw」ときいちゃん(北野日奈子)から内輪ネタらしきガヤを飛ばされるなど
「楽屋女王」の知られざる魅力の一面が垣間見られた非常にいいターンでした。
「なに これ も〜〜!」「緊張したんですけどぉ」と物怖じしない軽口を叩きつつ帰っていくじゅんなに
かなりん先輩のさりげなく感動的な内訳話 —
「ウチさぁ ある雑誌で こないだ発売された雑誌で じゅんなを もうちょっと なんか
 楽屋の感じを出したいって 言ったのが なんか 今できたかなって思って ちょっと嬉しい」
当日もそのことを話してたというじゅんなとかなりんの師弟愛にほろりと来る名シーンでした。  ※1

3番手はきいちゃん。
「トトロのメイちゃん」ではえずきそうになって笑いを呼び
「ミッキー(・マウス)」では例の声音&どこかヨーデル調で見事にやり切り
「さゆりんご」ではメイちゃんとほぼ同じ、と
何をやってもおかしくてかわいいという常なる武で乗り切りました。



ラストのコーナーは「無茶ブリ歌合戦」。
上の句・下の句の2つの箱内のフレーズから作詞作曲して即興ソングを披露する難関チャレンジ。
お手本としてさゆりん作の「悪魔デビル」のVが流れその「事故」級の恐ろしさに震え上がる2期生。
名札箱から今までやってないメンバーとして選ばれた1番手はかりん(伊藤かりん)。
「走れ!」「やーい(¨)ノ」の難しさと「悪魔デビル」のメロディーの残響に
さすがのかりんちゃんも「走れ!Bicycle」の替え歌に逃げてしまいます。
これは、「なんとかな なんとか」「どうこうせよ なんとか」というような
ハマりやすい品詞の組み合わせにならなかったお題ゆえの不幸でしたが
根がマジメなかりんちゃんゆえの「事故」を恐れてしまう心が敗因だったとも言えましょう。

対して、2番手のみりあ(渡辺みり愛)は度胸満点でやり切ります。
「ぐるぐる餃子祭」の難問に
いかにも幼児の即興ソングって感じのノン・コーダルな無茶メロディー。
地方の村おこし町おこしのイヴェント・ソングのような未完成度が実に事故った成功でした。

3番手まいちゅん(新内眞衣)は
心技体ともに優秀な能力、タレント性に留まらぬいち個人としてもの元々の優秀さを存分に発揮します。
お題「透明なゾンビ」に対して
NHK『みんなのうた』にありそうなペーソス溢れる、寂しげでノスタルジックなマイナー調ソング、
と意表をつくプログレッシヴなナンセンス感度。
「透明なゾンビ」を4回繰り返すだけなのにコード感と符割りが完璧で
しかも5回めのフレーズはノン・コーダルにフラットに変じ、しゃがんで姿を消す(透明)という
あっぱれな技巧の冴え。
カメラマンさんがその意図を読み切れずしゃがんだまいちゅんを追ってしまったのが無念。
「エア握手会」といい、この「無茶ブリ歌合戦」といい、
全体MVPの称号はまいちゅんに捧げられて然るべきでしょう。

4番手らんぜ(寺田蘭世)のお題は「君の名は王手」。
「チャッチャッチャッチャ」でスタートし「チャンチャン」でシメるという今時珍しいセンスに
今はまだ天然/技巧のどちらにも振り切れない危うさが感じられます。
宝塚趣味を活かしての「なり切り」みたいな芸風も性格的にはむしろ無理がありそうで、
らんぜはおそらく、イジり・フォロー・拾いにこそ力を発揮するのであり
一見「ボケ」「イジられ」側に見えるそのギャップからの脱却が課題になるかと思えました。



エンディング・トークでもリスナーからのコメントをヒントに
相楽伊織・堀未央奈に出たとこまかせの無茶振りをカマしていくところにも見えるとおり、
かなりんは番組全編にわたって
畏るべき理知と情のキャパシティから来る膨大な過去データと深く鋭い人格的推量から
一か八かの賭けをもこめて2期生メンバー各々にハジけのチャンスの種を振り撒いてます。
たとえ自身が不遇な時期にあろうと
かなりんの「アイドルであること」への愛は対自/対他にかかわらず不変で無限なのであり
『生のアイドルが好き』という場でも乃木坂46という場でも不動の強固さを持っています。
「変わることなくずっと好き」と「変化を目にとめ新たに好きになる」の両立 —
そういうことを可能にするのが乃木坂46の偉大なアイドルネスの因って来る所以であり、
であればこそ中田花奈の愛の形もまた乃木坂道を象徴する巨大な要素なのです。



その後、第26回『生ドル』で
かなりんの「エア握手会」は「中田花奈のガチヲタ握手会」というレギュラー・コーナーとなり
その初回は、愛するハロプロ勢のTHE ポッシボーの5人を相手に
フリーキーなぶっ飛びはそのままにさらなるマニアック知識を加味したものとなり絶賛を浴び
乃木坂ファンのみならずポッシ・ファン、アイドル・ファン、ニコ生ファンにも拡がる
狂躁的なムーヴメントを局地的にながら巻き起こしました。
乃木坂の戦いは心の戦いにして、愛の戦い。
チカラとカネの我欲の戦いでないことがそんなところにも見てとれるのです。



※1
エントリ99でも採りあげた月間エンタメ'15年5月号の記事とはまた文脈が微妙に異なるので
時系列上'15年3月4月発売らしき当該かなりんインタヴュー掲載誌をご存じの方は
ツイッターで @jeunesfillescom へご教示ください。



  






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