愛し愛されて生きることのアート — かなりんの深謀遠慮と知的反射神経

今 神算鬼謀の光芒がはるか万里を交錯する!
武が咆哮し鮮血が大地を覆うその天空に
人の智は幾重にも絡んでひき裂きあい
これほど壮美な華を咲かせていたのか!  (曹植)
—『蒼天航路』その三百三十六 より



さっそく前エントリの続きで
『生のアイドルが好き』第25回:「生ドル2周年!乃木坂46 2期生も2周年SP!」
2期生出演部分、最初のコーナー「エア握手会」のレヴュー後半から。

7番手いおり(相楽伊織)は
「相撲をとらせてもらえない」状態よろしくかなりん(中田花奈)の波状攻撃であっさりダウン。
「いおりさぁ 今日 ハンドクリーム何つけてんの?」
「あ いつもとおな...」「(食い気味に被せて)だよね〜 思った〜」
「オレもさぁ さっきさぁ あの ブログで書いてたから見てさ 同じの買ったんだ〜」
「いい匂いだよね これ。いつでもいおりの匂いだなって思ってさ...」
「お時間でーす!はい おわりおわりおわり」
「だよね〜」「いおりの匂い」のくだりでは狙いどおりに悲鳴があがり
演技終了後は「2期生全員からの悲鳴」「ファンもヒキ始めてる」「マジ出禁」との
リスナーからのコメントも紹介され、と
いおりには気の毒ながら、キモコワはしゃぎのスタジオの盛り上がりはますます加速するのでした。

8番手みおな(堀未央奈)は、さすがに選抜経験で一日の長あり。
このアドリブ劇の骨子をしっかりつかんだ上で丁々発止のやりとりを見せます。
「え 髪型かわいいじゃん」「そうなんです 最近切ったんです」
「あのねぇ こないだねぇ 切った日のブログ見てね かわいいと思って すぐ待ち受けにした」
「いつもねぇ 朝起きたらアラーム消したら見えるから みおなの顔が 毎朝見てるよぉ」
「え〜 いい目覚めかなぁ?」
「うん いい目覚め。メガシャキ メガシャキだよ」
「おめめがかわいいね パッチリで」「恥ずかしい ありがとう」
「え?恥ずかしい? オレに褒められて恥ずかしい?」
爆笑とコワ〜いヤだ〜の声が周囲であがりまくる中でも
みおなはかなりんのセリフ一言一言に集中して何かしらの言や仕草を返します。
それが功を奏して「メガシャキ」「オレに褒められて」のパンチ・ラインを呼んでるのですね。
また殊に、乃木坂サイドからするといまや複雑な「メガシャキ」を出すかなりん、
「意味がわかんないけど」とガヤを入れるさゆりん(松村沙友理)、
「うひゃひゃ」「ぐはは」と堪え切れずのスタッフさんたちの笑い、と
メタにメタに高度でプログレッシヴな大人の笑いがもう1層被さっているのも見逃してはなりません。
「花奈ちゃんがさ 今度からさ 逆握手会できそうじゃない?」「ファンの人がね アイドル役やるの」
と、この企画の盛り上がりの先にあるポテンシャルを鋭く見抜くさゆりんも見事。
殊に女性ファンは、かなりんのキモ褒め芸を味わうためにも並んでみるといいでしょう。

9番手きいちゃん(北野日奈子)も残念ながら相撲にならない状態。
でもこれは「デビルっぽいやつ」というかなりんの一か八かのリクエストを
流して「がお〜」に持って行ってしまったきいちゃんに敗因がありますね。
2014年5月に話題を呼び、8月にはななみさん(橋本奈々未)ブログにも特筆された  ※1
「ひなデビル」をなんとかアレンジしてやり切ってこそ「事故」という成功に繋がった筈でした。

10番手かりん(伊藤かりん)はさすがの丁々発止の受け答え。
「お こんにちわ...」とまた引っ込み思案ヲタの低テンションのていをカマすかなりんに
「あ え? しゃべることないですか?w」とこれ以上ないってくらいの正解返しで初手から爆笑獲得。
「かりんさぁ じゃあさぁ オレのこと好き?」「オレはきっと『王手』ってカンジの人」
「オレはかりんに王手してるよ?」という思い込み激しいヲタ攻勢を
「人格を知りたいな」「わたしはまだ王手してないかな」「徐々に仲良くなりましょ」と
いなしいなし肩すかしはたきこみでかわしまくります。
演技が終わって「かりんさぁ もしウチがほんとに来たらさぁ その対応すんの?塩対応すんの?」と
ツッコむかなりん。
「わたし あんまり言われないんですよ そういうのやって、って」「だよね」と
ヲタとして入ってきた乃木坂Loverで人格ファン多きかりんちゃんとそれを案じるかなりんの間の
見えざる愛と理解とリスペクトのダイナミクスがさらっと表れた好シークエンスでした。

11番手大トリまいちゅん(新内眞衣)もフィクショナルなアドリブといなしで見事な試合っぷり。
乃木坂カフェのマネージャーでもあるまいちゅんに厄介なファンが、というかなりんの腹案で —
「あのさぁ おとといさぁ 乃木坂ミルク15杯頼んでさ...」
「え〜 うそ〜 そんなに〜 大丈夫?お腹大丈夫だった?」
「え 待って待って まいちゅんレジやってたじゃん? なんでさ 覚えてないの?15杯頼ん...」
「覚えてる覚えてる! あれだよね 15杯頼んで
 なかなか『かなりん(のコースター)が出ない』ってずっと言ってた人だよねぇ?」
「あれ実はさぁ なんか 15枚まいちゅんだったんだよね」「わ〜 お邪魔しちゃったー?」
「オレ運命だと思ってさぁ 今日からまいちゅんのコースター毎日使おうと思ってさ...」
「(クロスで)あ ほんとに? じゃあ運命かもしれないから...」
「(食い気味に被せて 両手バイバイで)は〜い!じゃあまた来てね〜」
右下ワイプのかなりんが「あっ!」とばかりに一瞬口を開け絶句してすぐ笑い出すのが
まいちゅんの最後のいなし技の見事さを雄弁に物語ってます。
お互いにぶっ飛んだ設定を素早く繰り出し合ってのつばぜり合い。
さすがだった、大人だったとMCかなりんさゆりんもその横綱相撲っぷりを賞讃する
ラストにふさわしい丁々発止の好試合でシメとなりました。



やはり予感どおり最初のコーナーだけで分量目一杯でまた続き、となりますが
この『生のアイドルが好き』という番組のエンスーな支持者であるボクは
そのファンの器にかけてエクストラな真実をここでひとつ早めに語っておかねばなりません。
この「神回」この「神アワー」は突然の偶発で生まれたものなぞではさらさらなく、
かなりんさゆりんが、そして現場のおそらくはニコ生側の各スタッフが
過去24回にわたってずっと積み重ねてきたナンセンス笑いのメソッドが
たまたま2期生全員初登場という好機に爆発的に花開いた例なのです。
ちらっとコーナーのイントロでも触れられたとおり
この「エア握手会」は、第13回のpaletゲスト時に初登場した企画の改良版で、
そこではむしろさゆりんが東北弁ライクな男子ヲタ口調で
「ボクを意識」「私信」「認知」などメタ視点の危険なネタを披露し大ウケしていたのでした。
今回のエア握手会でも一瞬かなりんがさゆりんに「やってみる?」と促すのですが
2期生のほとんどとまだ絡みもなく情報不足でまた人見知りでもあるさゆりんは
眼前にしているかなりんの武のポテンシャルに期して遠慮してるわけですね。
神算鬼謀、深謀遠慮、機転の人かなりんさゆりんがこのレヴェルの笑いを惹き起こすのは
けっして今に始まったことじゃないことを強調しておいて
今エントリはシメとしましょう。



P.S.
まいちゅん初選抜おめでとう!
ここんとこの活躍を考えればもっともですよね。


※1 参照
好物は人の心 | 乃木坂46 北野日奈子 公式ブログ
(´_ゝ`) 観覧車のりたい | 乃木坂46 橋本奈々未 公式ブログ








  

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